かつてトヨタの発表した「アレッサンドロ ・ボルタ」は、珍しいシートレイアウトを採用した魅力的なスーパースポーツモデルでした。
■トヨタと名門デザインスタジオが協力!
世界中の自動車メーカーから発表されるコンセプトカーの中には、「もしこのまま市販されたら面白い」という個性的なものが多数あります。
例えば、2004年にトヨタの発表した「アレッサンドロ ・ボルタ」は、珍しいシートレイアウトを採用した魅力的なスーパースポーツモデルでした。
アレッサンドロ・ボルタは、2004年にスイスで開催された「ジュネーヴ・モーターショー」で発表された、ハイブリッドシステムを搭載したスーパースポーツカーです。
その車名は、ボルタ電池を発明した物理学者のアレッサンドロ・ボルタ氏が由来となっています。
同車は当時トヨタが行っていた「ハイブリッド方式を用いたスポーツカー研究」の一環として開発されたコンセプトカーで、イタリアのデザイン工房「イタルデザイン・ジウジアーロ」とのタッグで開発が行われました。
ひと目で目を惹く美しいデザインは、イタリアの名門カロッツェリア「イタルデザイン・ジウジアーロ」が担当しており、フェラーリやランボルギーニなど世界の名だたるスーパーカーにも引けを取らない「くさび型」の鋭いスタイリングが特徴的。
さらに通称「ガルウィングドア」とも呼ばれる「シザースドア」を採用しているのもポイントです。
パワーユニットは、3MZ-FE型の3.3リッターV型6気筒エンジンにハイブリッドシステムのモーターを組み合わせ、最高出力402馬力を発揮し、最高速度250km/hとしています。
そんなアレッサンドロ・ボルタにおいて、最も興味深い点がインテリアです。
なんと「横一列の3シーター」という、世界を見渡してもあまり見られない斬新なシートレイアウトが採用されていました。
このレイアウトには、ステアリングとアクセル・ブレーキペダルが付いたペダルボードは左右にスライドする機構が組み合わされ、これによって3列シートのどの位置に座っても運転することが可能というユニークなシステムとなっています。
このように、アレッサンドロ・ボルタは個性的で魅力的な特徴を兼ね備えたクルマでしたが、市販化には至らず、残念ながら幻のスポーツカーとなってしまいました。
もし市販化されていたら、最大の特徴である3列シートとスライド式ペダルボードもコンセプトカーから引き継がれていたのか、気になるところですね。