クルマの空調パネルに備わる「A/Cボタン」ですが、家庭用のエアコンのスイッチとは少し使い方が違うことをご存じでしょうか。
■家庭用エアコンとは違う!? カーエアコン「A/Cボタン」の使い方とは
厳しい残暑が続くなか、クルマに乗ってエアコンが効いてくるとほっとしますが、クルマの空調で「A/C」と書かれたボタンをOFFにしても、吹き出し口からは風が出てきます。
そうなると「A/Cボタンって何」と疑問に思いますが、どんな意味があるのでしょうか。
A/Cとは「Air/Conditioning(エアーコンディショニング)」の頭文字であり、いわゆる「エアコン」のこと。
ただ家庭用のエアコンとはちょっと違っていて、カーエアコンの場合、A/CがOFFになっていると冷房は効かなくなります。
しかし外気を送る「送風」自体は続けてくれるほか、冬場は車内を暖めることもできます。
カーエアコンは、車外から導入した空気を熱交換器で除湿・冷却したあと、適切な温度まで加温をして、車内に届けてくれるという働きをしています。
このとき「AUTO」にしていると、熱交換器で適切な温度に変換した空気を適切な風量にコントロールして、車内を快適に保ってくれます。
A/CをOFFにすると、この「車外から導入した空気を熱交換器で除湿・冷却したあと、適切な温度まで加温をする」という工程ができなくなるため、冷房が効きません。
暖房はエンジンが発する熱を用いているため、暖房だけを効かせたいときはA/Cをオンにする必要はなく、送風だけで車内を暖めることはできてしまいます。
しかし冬にA/Cが常にOFFでいいのかというと、そうではありません。
前述したように、エアコンには除湿をしてくれる役割もあります。
常にA/CがOFFになっていると除湿がされず、結露が発生する要因となってしまうほか、また快適な温度に調整することもできません。
ただ、常にA/CをONにしていることも正解とはいえません。
エアコンを起動するとエンジン(電動車の場合は電力)に負荷がかかるため、燃費や電費に悪影響を及ぼします。
アイドリングの状態でA/Cスイッチを押してON/OFFをすると、エンジン音が上がったり、電動車の場合は電力消費が激しくなるのが分かると思います。
※ ※ ※
暑い時期は常にA/CはONとなりますが、燃費を考えるならば冬場は基本的にはOFFにしておき、結露が気になるときにONにする、という切り替えが必要。
筆者(くるまのニュースライター 河馬 兎)の体感上、夏場ならば設定温度25度前後、冬場ならば設定温度20度前後が、もっとも燃費がよくなるような気がします。
ただ、切り替えが面倒に感じるという人なら、A/Cスイッチは常にONで良いでしょう。
特に雨天時にはガラスが曇りがちになりますので、できればA/Cスイッチは常にONにして湿度を下げた状態に保つほうが良いかもしれません。