トヨタは新型SUVとなる「bZ3X」の詳細を成都モーターショーにて発表しました。この手のサイズにはライバルが多いですが、新型「bZ3X」にはどのような特徴があるのでしょうか。
■トヨタ新型「bZ3X」まもなく発売へ どんなクルマ?
2024年8月30日より開幕した中国の成都モーターショーにて、トヨタは新型「bZ3X」の詳細を発表しました。
いったいどんなクルマなのでしょうか。
トヨタは2024年4月の北京モーターショー2024にて、中国向けに投入する2台のBEV「bZ3C」「bZ3X」を公開しました。
どちらもその前年に開催された上海モーターショー2023にてコンセプトモデルとしてお披露目されたモデルの市販車となります。
トヨタの純電動サブブランド「bZシリーズ」は現在、世界中で販売されているSUV「bZ4X」と、中国専売のセダン「bZ3」の2モデルを擁しています。
bZ3は2020年に電動車大手「BYD」と共同で立ち上げた合弁会社「BYD TOYOTA EV TECHNOLOGY(BTET)」初となる共同プロジェクトで、実際の製造と販売は第一汽車との合弁会社「一汽トヨタ」が担当しています。
バッテリーはBYDが製造するリン酸鉄リチウムイオン電池を採用、それ以外の制御面や車体、パッケージングなどはトヨタが設計を担当した形となります。
次に投入予定のbZ3CもbZ3同様、BYDと共同で開発され、実際の製造と販売は一汽トヨタがおこないます。
また、bZ3Xは広州汽車との「広汽トヨタ」が担当する車種で、実際の商品設計の段階から中国の消費者が求める要素を反映させるべく両会社が携わったものとなります。
実用性重視のファミリー向けSUVとして開発されたbZ3Xは車名にある数字「3」が表すように比較的コンパクトなサイズですが、大家族でも快適に移動できる十分な室内空間と荷室を確保。
同時に発表された「bZ3C」と比較すると、内外装ともに保守的な設計となっており、双方のキャラクター性が上手に作り分けられている印象です。
インストルメントパネルは7インチの横長ディスプレイ、中央には12.3インチのタッチディスプレイを備えており、中国での最新の流行を取り入れた形となります。
また、このサイズのSUVにしては珍しくルーフ最後端が角張っており、比較的小さめなボディサイズながらもしっかりとした存在感を演出していることがわかります。
現在、中国の四川省成都市で開催されている成都モーターショー2024では、bZ3Xの詳細が発表されました。
広汽トヨタによると、bZ3Xは運転支援システムに中国の自動運転ベンチャー「Momenta」と共同で開発した「L2++」レベルのものを搭載するとのこと。
チップセットには計算能力254 TOPSを有するNVIDIA Orin-Xに加え、LiDARユニット(126ライン)といったハードウェアを採用、高度な運転支援システムを搭載する中国メーカーの競合車種に対抗する狙いです。
中国では依然としてL3レベルの自動運転がまだ普及しておらず、各社ともに「極めて高度なL2レベル」を搭載している状況です。
L2++では高速道路でのハンズオフ走行はもちろんのこと、分岐レーンへの自動進入や、駐車場での自動召喚、車外からの駐車操作などに対応するのが一般的です。
ボディサイズは全長4690mm×全幅1860mm×全高1650mm、ホイールベース2850mmと、同じトヨタ「RAV4」よりもわずかに大きいサイズ感となります。
シングルモーターの二輪駆動モデルは中国独自のCLTC方式で航続距離615km、ツインモーターの四輪駆動モデルは560kmになると見られますが、実質的な数値はこの0.7-0.75掛けといったところでしょう。
広汽トヨタはbZ3Xを2025年に20万元(約400万円)以下で発売するとしており、競合車種の多い中国市場において攻めの姿勢を明確にしています。
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中国メーカーの車種ではリープモーター「C10」や、長安汽車の電動ブランド・ディーパル「S7」、BYDのミドルSUV「宋」シリーズなどと競合することになるでしょう。
これら車種はBEVモデルだけでなく、昨今勢いを巻き返しつつあるPHEVモデルも用意しており、価格も15万元(約300万円)以下からと非常に安価です。
価格はもちろんのこと、トヨタが今まで培ってきた信頼、そして高度運転支援技術という新たな挑戦をもって中国市場にて勝負する形です。