トヨタは国内で様々なミニバンを展開していますが、海外では日本に導入されていないモデルも展開しています。そのなかでも最大9人が乗れるミニバンが注目を集めていますが、一体どのようなモデルなのでしょうか。
■アルファードより大きなモデルもある「プロエース ヴァーソ」とは?
2024年9月現在、トヨタは日本市場で多彩なミニバンを展開しています。
具体的には、日常使いに便利なコンパクトミニバン「シエンタ」、ファミリー層に人気のミドルサイズミニバン「ノア/ヴォクシー」、そして高級ミニバンの代名詞とも言える「アルファード/ヴェルファイア」など、用途に応じた幅広いラインアップが揃っています。
しかし、日本国内では販売されていないモデルも数多く存在し、海外市場ではアルファードを凌ぐ大型ボディのミニバンが注目を集めています。
そのなかで特に興味深いのが、最大9人乗車が可能な「プロエース ヴァーソ(以下、ヴァーソ)」というモデルです。
ヴァーソは、トヨタが欧州市場向けに展開しているミニバンで、同じく欧州で販売されている商用バン「プロエース」をベースに乗用車仕様へと改良したものです。
同車は、商用バンとしての優れた積載能力や耐久性を備えつつ、ファミリーや多人数の移動に対応するため、内装や快適装備が拡充されています。
現行モデルである2代目ヴァーソは2016年に発売され、その後2023年から2024年にかけて内外装のアップデートが施されたマイナーチェンジ版が欧州各国で順次発表されており、最新のデザインと機能を取り入れています。
ヴァーソの基本的なプラットフォームやエンジン、その他の主要コンポーネントは、トヨタが提携している欧州の自動車メーカーグループ「ステランティス」から供給されています。
兄弟車には、プジョーの「エキスパート」、シトロエンの「ジャンピー」、フィアットの「ウリッセ」などがあり、これらのモデルとも多くの共通点を持っています。
ヴァーソのボディサイズは、標準サイズで全長4959mm×全幅1920mm×全高1899mm、ホイールベースは2925mmとなっています。
さらに、ロングボディ仕様では全長5309mm×全幅1920mm×全高1940mm、ホイールベース3275mmと、アルファードを大きく上回るサイズ感で、同車の「グランエース」に匹敵します。
エクステリアデザインも個性的で、グリルレスのフロントマスクが特徴です。
特にバンパー下部に大きく口を開いたデザインは迫力があり、見る者に強い印象を与えます。
インテリアは大きなボディを最大限に活かし、乗車人数やシートレイアウトは販売国やグレードにより異なりますが、2列6人乗り(3+3)、3列7人乗り(2+2+3)、3列8人乗り(2+3+3)、3列9人乗り(3+3+3)など、多様なレイアウトが用意されています。
また最新の技術が取り入れられており、フルデジタルディスプレイや統合型ナビゲーションを搭載したインフォテインメントシステムなど、先進的な車載機能が充実しています。
さらに、全車種にコネクティッド機能の搭載が可能で、常に最新の情報を車内で利用できる点も大きな魅力です。
パワートレインにも多彩な選択肢が用意されており、ディーゼルエンジンのラインナップとしては、最高出力120馬力の1.5リッターディーゼルエンジン、そして145馬力と180馬力の2リッターディーゼルエンジンがあります。
トランスミッションは6速MTが基本となり、2リッターエンジンでは8速ATも選択可能です。
くわえて環境に配慮したEVモデルも用意されており、50kWhまたは75kWhのバッテリーとモーターを搭載し、それぞれの航続距離は224kmと350kmとなっています。
充電に関しては、100kWのDC急速充電システムを使用すれば約45分で80%の充電が完了するなど、利便性も配慮されているのが特徴です。
価格は市場によって若干異なりますが、例えばイギリスでは4万2988ポンド(約806万7000円)から5万5866ポンド(約1048万3700円)で販売されています。