2輪と4輪の両方を手掛ける稀有なメーカーのひとつであるスズキは、クルマとバイクの融合を試みた「ミサノ」というコンセプトカーを発表していました。どのようなモデルなのでしょうか。
■こんなスズキ車あり!? スズキ「ミサノ」とは
2輪と4輪の両方を手掛ける稀有なメーカーのひとつであるスズキは、2輪のテイストを持った4輪のコンセプトモデルをリリースすることでも知られています。
2001年に発表された「GSX-R/4」は、同社のスーパースポーツバイクであるGSX-Rをそのまま4輪にしたというコンセプトで設計され、1万1000回転がレッドゾーンとなる「隼(ハヤブサ)」のエンジンをそのまま搭載したことでも多くの話題を集めました。
そんなスズキが2021年4月に発表した「ミサノ」というコンセプトモデルもまた、2輪と4輪の魅力を1台で表現したモデルとなっていました。
スズキのイタリア現地法人が発表したこのコンセプトモデルは、ヨーロッパ最大のデザイン学校であるIED(ヨーロッパ・デザイン学院)との共同プロジェクトで生まれました。
そのデザインは、同学校に在籍する24人の修士による論文プロジェクトの成果として創り上げられたもの。
2輪と4輪の融合ということで、ルーフを持たないオープンモデルとなっており、4輪車でありながらシートは縦1列に配されたタンデムスタイル。
イタリアらしく左側に寄せられた運転席にはステアリングではなく、バイクのようなバータイプのものを設定しています。
パワートレインはEVとされており、シートが備わらない右側のスペースにバッテリーなどを搭載したほか、ラゲッジスペースも用意されているとのこと。
駆動方式や出力などの詳細は明らかとなっていませんが、2輪のような走りを楽しめるとすれば、後輪を駆動すると想像できます。
そのスーパーカー的なデザインから、ボディサイズは大柄なものを想像してしまいますが、実際のサイズは全長4000mm×全幅1750mm×全高1000mmと、全高以外は全長3890mm×全幅1735mmの「スイフトスポーツ」と大差ないコンパクトなもの。
この辺りは軽量コンパクトな車両をラインナップするスズキの4輪らしさを感じさせてくれます。
なお、車名の“ミサノ”は日本的な響きを持っていますが、これはロードレース世界選手権(MotoGP)のサンマリノGPが開催されるイタリアのミサノ・ワールド・サーキットが由来となっており、この辺りもスズキらしいポイントと言えるでしょう。
このモデルはあくまでIEDとの論文プロジェクトで生まれたコンセプトモデルということで、市販化の予定などはないのが残念ですが、いつか本当に2輪と4輪の魅力を併せ持つモデルがスズキからリリースされることを期待したいところです。