日産が誇る大型高級ミニバン「エルグランド」には、広大な車内空間を極めて贅沢に利用した「乗車人数4人」の“超高級モデル”がありました。
■超高級な「“4人乗り”エルグランド」
「エルグランド」といえば、日産が誇る大型高級ミニバンです。
現行型であるE52型は、最大で8人がゆったりと乗車できる構造となっていますが、過去には「乗車人数4人」という、広大な車内空間を極めて贅沢に利用した超高級モデル「エルグランドロイヤルライン」がありました。
「4人乗り仕様」がラインナップされていたのは、エルグランドの初代モデル。
それ以前は「キャラバンエルグランド」および「ホーミーエルグランド」という名前で販売されていましたが、1997年に正式に“エルグランド”の名でデビューしたこのモデルは、高級感のあるデザインとインテリア、他を圧倒する快適な車内空間を武器に、瞬く間に国内高級ミニバン市場のトップへと上り詰めました。
翌1998年には、現在でも人気グレードのひとつであるエアロ仕様の「ハイウェイスター」とともに、「ロイヤルライン」がラインナップに加わります。
そしてこのロイヤルラインこそが、4人乗りの超高級エルグランドでした。
ロイヤルラインは、現在の「日産モータースポーツ&カスタマイズ」である「オーテックジャパン」が手掛けたチューニングモデルで、後部座席は2脚しかありません。
この2脚はロイヤルライン専用に作られた電動シートで、航空機のファーストクラスのシートさながらの快適な座り心地を実現したもの。
後部右側の座席は、「執務用」となっており、ノートパソコンが置ける電源付きのスライド式テーブルや書類収納スペース、CDデッキ、VHSビデオデッキなどを装備。
一方、左側は専用7インチテレビを前方パネルに備えており、また右側座席よりもゆったりとくつろげるよう、足元の空間を広く取っているのが特徴でした。
また、リアにはフルセットのゴルフバッグが3セット収納できる広さのトランクスペースを装備。
座席エリアとトランクスペースはパーテーションで仕切られており、リアゲートを開いても雨や風が室内には入らないようになっていました。
このロイヤルラインの車両価格は695万円と、当時としては飛び抜けて高額に設定され、さらに座席を革製に変更するなどのオプションも用意してあり、より高級感をアップさせることも可能でした。
このように、一見すると通常のエルグランドでありながら、座席は4席というハイラグジュアリーなモデル「エルグランドロイヤルライン」は、当時の日産社長が利用するなどVIP用として人気を博しました。
しかし販売数が少なかったこともあり、現在中古市場で見かけることは非常に稀です。
今や幻の存在ですが、プレミアムミニバンの先駆けとなったモデルと言えるでしょう。
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現在は3代目エルグランドが販売されていますが、このモデルにも贅沢な4人乗り仕様は存在し、「エルグランド VIP」という車名でラインナップされます。