山梨県で「甲府富士北麓連絡道路」という計画が進行中。一番の難所はすでに事業化しています。開通すればどう便利になるのでしょうか。また話はどこまで進んでいるのでしょうか。
■富士吉田への短絡路を高規格化
山梨県で「甲府富士北麓連絡道路」という計画が進行中。一番の難所はすでに事業化しています。
開通すればどう便利になるのでしょうか。また話はどこまで進んでいるのでしょうか。
甲府富士北麓連絡道路は、甲府盆地東側の笛吹市から、富士吉田市までをむすぶ地域高規格道路です。
現在は国道137号が通っていますが、旧態依然とした現道を高規格化しようというのが、この計画です。
このルートは、甲府方面から富士吉田方面をショートカットする重要なネットワークとなっています。中央道だと、いったん大月まで出て、南西へ「バック」するという、三角形の2辺のような移動になりますが、国道137号は最短距離で富士吉田までつないでいます。
完成すれば、「甲府~富士吉田~御殿場」という、直線的な縦軸が誕生します。現状の道路ではなかなか通行が難しかった大型車や観光バスも、難なく抜けられるようになり、移動性が格段に向上すると期待されています。
さらに、渋滞が著しい中央道の甲府~八王子区間の抜け道としても利用される国道137号。富士吉田から国道413号「道志みち」で東進する人がいますが、その最初の難所が、かなり走りやすくなるというわけです。
さて、そんな甲府富士北麓連絡道路の核心となるのが、市境に立ちはだかる急峻な「御坂山地」を抜ける「新御坂トンネル」の改良です。
新御坂トンネルは1967年に完成。当初は有料道路でした。それまで東側の狭隘で崖っぷち、連続ヘアピンのある長い峠道でしたが、2778mにもおよぶトンネルで一気にまっすぐ抜けられるようになりました。
しかし今や60年が経過しようとしています。老朽化が目立ち、漏水も多数発生するほど。また、4.2mの高さ制限もあります。第一に、トンネルに到達するまでが難所で、急勾配・急カーブは大型車にとって厳しく、特に冬季にスタック事故も相次いでいます。事業化前の数字では、10年間で死傷事故が124件も発生したというデータがあります。
そこで、「新・新御坂トンネル」が検討され、ついに2022年に事業化を果たしました。現時点で、「甲府富士北麓連絡道路」における最初かつ唯一の事業化区間となっています。
新たな新御坂トンネルは、前後のヘアピン区間もまとめてトンネルで抜けていくため、現トンネルの2778mに対して「4619m」と、大幅に長くなっています。これにより、ほとんど「急ハンドル」をしなくても、御坂峠を抜けていくことができるようになります。
気になる進捗ですが、2024年2月に「新たな御坂トンネル整備検討会」の4回目が開かれ、有識者などの意見もふまえて、トンネル設計に必須なボーリング地質調査をどこにどうやれば適切か、などの課題整理がおこなわれていました。今後、いよいよ地質調査が進み、それから詳細設計へ移っていくこととなります。
なお、「甲府富士北麓連絡道路」には構想段階として、前後に延伸する話もあります。北側では「西関東連絡道路」に直結し、南側では富士吉田市街地を抜けて国道139号「富士見バイパス」へ直結するというものです。どちらも具体化にはまだ至っていません。