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ホンダ新型「スゴイ軽バン」登場! 「斬新シフト」採用の“超静音”モデルは荷室も「めちゃスゴイ」!? 試して分かった「N-VAN e:」の“優位点”とは

くるまのニュース 2024年9月4日 8時10分

2024年10月に発売を予定するホンダの新型軽商用EV(電気自動車)「N-VAN e:」について、正式発売を前にカーライフ ジャーナリストのまるも亜希子さんがひと足先に実車をチェックしました。その使用感について詳しく紹介します。

■似てるようで異なる内装の仕上げには「理由」があった

 ホンダは2024年10月10日、軽商用バンの新型EV(電気自動車)「N-VAN e:(エヌバン イー)」を発売します。
 
 正式発売を前に実施したテストコース試乗でわかった新型N-VAN e:の「使用感」について、いち早く紹介します。

 助手席側のスライドドアをピラーレスとした大開口部と、低床技術を活かしたシートアレンジによるフラットなフロア。そしてホンダらしいパワフルな走りが融合した軽商用車「N-VAN」をベースに、100%ピュアEVに仕立てた「N-VAN e:」。

 プラットフォームを継承しつつ、ホンダ独自のセンタータンクレイアウトを活用して、大容量バッテリーをはじめとするIPU(インテリジェントパワーユニット)を床下にぴたりと納めたおかげで、4人乗りでもガソリン仕様とほぼ同等の積載性を実現しています。

 しかも、ガソリン仕様からさらに室内の使い勝手を向上させた部分や、EVならではの使い方にも配慮した部分があるといいます。

 新型N-VAN e:には4人乗りの「e: FUN」と「e: L4」、法人およびホンダのオンラインストア「Honda ON」限定でリース契約となる1人乗りの「e: G」と2人乗りの「e: L2」が設定されます。

 今回はまだ発売前の新型N-VAN e:のなかでも、個人ユーザーの需要を意識した上級モデルのFUNを実際に見て、触ってチェックした使用記をお届けします。

 まず運転席に座ってみると、ガソリン仕様とはかなり印象が異なっていることに気づきます。

 いちばん大きな違いは、シフトレバーがなくなり、「エレクトリックギアセレクター」となっていること。

 ホンダ車では「アコード」をはじめ「ステップワゴン」(ハイブリッドモデル)などで順次採用されている、ボタンタイプのシフトセレクターです。

 レバータイプよりもコンパクトに収められるおかげで、エアコンのスイッチが運転席に近い位置に移動し、航続距離を延ばすためにすぐ使えるよう、ECONスイッチも左手が届きやすい位置に置かれました。

 細かなところでは、これによってセンターディスプレイの角度が少し立ち気味になり、コントロールユニット下に小物入れが設置されています。

 システムをONにするプッシュスタートスイッチは、インパネのいちばん右側に。配送などで1日に何度も乗り降りするような場合に、スイッチタイプの方がストレスが少ないと考えたとのことです。

 その下方には、サイドミラーの調整スイッチや急速充電口のオープンボタン、横滑り防止装置のオフスイッチが配置されています。

 また「頑丈なeコンテナ」をイメージしたというインテリアは、ドアのインナーパネルがスッキリとして、パワーウインドウの開閉スイッチもドアポケットもなくなっています。

 パワーウインドウスイッチはセンターコンソールに置かれ、ドアポケットはドアグリップと兼用となる上段のポケットのみとなりました。

 これは、たとえばカーペットなど大きくて長さのあるものを積むときに、「ドアポケットがなければあと少しで入るのに」といった残念なことにならないようにするため。

「ビード」と呼ばれる、横に波打つような模様が入っているのは、もともとN-VANのサイドパネルに入っていた模様とリンクしていますが、これは強度アップにも効果があるとのこと。長尺物の積みやすさと頑丈さを両立しているのが新型N-VAN e:の室内です。

 こうした工夫によって、運転席以外をフルフラットにした状態でのN-VAN e:の最大積載量は、N-VANの4WDモデルと同等を確保。120サイズの段ボール箱が71個積載できる実力です。

 ビジネスグレードで積載量を重視するe:Gとe:L2に関しては、シートが少なくなる分さらに広がり、N-VANのFFモデルと同等の積載量を実現したといいます。

 ただ個人ユーザーなどで「ポケットがあった方が嬉しい」という人には、ホンダアクセスから純正アクセサリーとして、メッシュポケットやルーフコンソールなど多彩なユーティリティパーツが用意されています。

■「充電口」の位置まで細やかな配慮がある新型「N-VAN e:」

 続いて新型N-VAN e:の後席を見てみます。

 運転席と比べるとかなり座面は薄く、背もたれが低くなっており、簡易的なシートということがわかります。

 e:L4には後席にヘッドレストが装備されませんが、e:FUNには装備されるため、後席に頻繁に人を乗せるような使い方にはe:FUNの方がオススメです。

センターピラーが無く大開口部を誇る新型「N-VAN e:」はビジネスユーザーのみならず個人ユーザーにとっても気になる存在です

 バッテリーが床下に敷き詰められ、低重心感が増したことや、タイヤサイズが13インチにアップしたことなど、EV化によって後席の乗り心地や安定感、静粛性が向上していることを実感しました。

 さて、EVならではの使い勝手としては、まず充電口があります。

 新型N-VAN e:はスライドドアのため、充電中もドアやバックドアの開け閉めが行えるよう、フロントグリルに充電口が設置されました。

 バッテリー容量29.6kWh、航続可能距離245km(WLTCモード)と、軽乗用EVである日産「サクラ」/三菱「ekクロスEV」の20kWh/180kmを上回る性能を誇り、急速充電が50kW対応、普通充電が6kW対応と充電性能も次世代を見据えたものとなっています。

 充電時間は6kWの普通充電なら約4.5時間で100%まで、50kWの急速充電なら約30分で80%まで可能。毎日の使用でもストレスを感じない、利便性の高さを実現していますが、充電口の開け方にもそうした工夫があります。

 普通充電の場合は、たとえば営業所などに帰っていったん業務の報告などを済ませ、あとから充電操作をする場合も多いと考え、外から直接充電リッドをプッシュして開けるタイプとしました。

 一方で急速充電は、配送途中や外出先で降車後すぐに充電することが多いと考え、車内のスイッチで充電リッドをオープンするタイプを採用しています。

 こうすることで、慣れない人でもどちらの充電口だったかを間違えるようなストレスもなくすことができるといいます。

 さらに新型N-VAN e:は、別売りのパワーサプライコネクターを接続することで、1500Wまでの外部給電も可能となっています。

 アウトドアではホットプレートや湯沸かしポット、ビジネスシーンではインパクトドライバーや高圧洗浄機などまで、幅広い電化製品が使用可能。

 ホンダアクセスで用意している「外部電源入力キット」をオプション装着すれば、荷室内に12V電源とAC100V/1500Wのコンセントがつくほか、リアバンパー部に外部接続用ケーブル(5m)が接続できるため、テールゲートを閉めたままでも電化製品が使えて便利。もちろん、災害時や停電時の電源としても頼もしい備えとなります。

 そして新型N-VAN e:には、こうした充電などの操作がよりスマートに使えるようになるコネクティッド機能「Honda CONNECT」の機能が充実。

 充電の状態をリモートで確認できたり、お出かけ前タイマー設定や充電待機時間設定、最大充電量設定のほか、ホンダ初の機能が2つあります。

 ひとつは「外部給電下限SOC設定」で、出かけた先で外部給電を使いすぎて帰れなくなることを防ぐため、あらかじめ残しておきたいバッテリー残量を設定できるという機能。

 もうひとつが「最大電流量設定」で、自宅の契約アンペアに合わせて電流量の上限を設定することができる機能です。

 猛暑日にあらかじめ車内を涼しくしておく、寒い日にヒーターをつけておく、といった機能もあります。

 これらはスマホやタブレットに専用アプリをダウンロードし「Honda Total Care」に登録することで、無料で使えるのが嬉しいところ。

 さらに、法人の大口顧客に対しては使い方のニーズに合わせてシステムを個別に設定して提供することも可能となっています。

 こうして見てくると、新型N-VAN e:は軽商用EVとしての高い実力はもちろん、既存のEVからの乗り換えとなる、いわばEV上級者にとってもそれまで不満だった使い勝手をしっかり改善しており、満足度の高い1台であることがわかります。

 アクセサリーも充実しているので、自分らしいEVに仕上げたい人にとっても魅力的です。

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