近年、クルマに搭載されるディスプレイの大型化がますます加速し、機能性やインテリアデザインに大きな影響を与えていますが、そのサイズに限界はないのでしょうか。
■車載ディスプレイの大型化、今後どうなる?
近年、クルマに搭載されるディスプレイはますます大型化しており、機能性やインテリアデザインに大きな影響を与えています。
大型化によってクルマの機能が集約できたりなどのメリットもありますが、この先もまだまだ大きくなっていくのでしょうか。
クルマにおけるディスプレイの歴史を辿ると、1981年に世界初のカーナビとして6インチのブラウン管を使用した「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」が登場したのが始まりです。
その後、1990年代にはGPSを搭載したカーナビが登場し、高級車を中心に普及しましたが、ディスプレイのサイズは7インチ以下に制限されていました。
これはカーオーディオの規格に基づく「1DIN」や「2DIN」のサイズ制約によるものでした。
しかし2010年代に入ると、ナビ機能の複雑化や車内のインテリアデザインの変化により、さらに大きなディスプレイが求められるようになりました。
日本で販売されている国産車もみても、トヨタ「ハリアー」やレクサスなどの車種では12.3インチのディスプレイが一般となっていたり、ダイハツの軽自動車「ムーヴ キャンバス」にも10インチの純正ナビが設定されていたりなど、もはや10インチ超えは特別なものではなくなっています。
そんなディスプレイの大型化には、視認性の向上や車載機能の集約できるといった利点があります。
大画面により、ナビの地図やテレビの表示が見やすくなり、多くの機能を1箇所に集約できるため、物理ボタンの削減が可能となりました。
これにより、特にコンソール周りのデザインがすっきりとし、物理ボタン故障のリスクも低減されます。
くわえてディスプレイ技術の進化により、消費電力の増加や故障のリスクといったデメリットも克服されつつあるのです。
現在ではメーターパネルにも液晶ディスプレイを採用するクルマが一般的になってきたのと同時に、これまで以上にディスプレイの大型化は急速に進んでいます。
なかでも中国のEVメーカー「Byton」で48インチディスプレイが採用されている事例もあります。
ただし、物理的なスペースやドライバーの視界の確保といった課題もあり、ディスプレイのサイズには限界があると考えられます。
そこでメルセデス・ベンツやアウディをはじめとする欧州のプレミアムブランドでは、助手席前方にも液晶ディスプレイを配置するのがトレンドとなっています。
実際にメルセデス・ベンツのEV(電気自動車)である「EQS」には、運転席前から助手席まで1枚のガラス面で繋がっている56インチのハイパースクリーンが搭載されており、車載機能の拡充が図られています。
このように助手席にもディスプレイを配置するスタイルが、今後多くのクルマで採用されていくことでしょう。
ディスプレイの大型化はクルマの先進的なイメージを強調し、ブランドの訴求力を高める重要な要素であり、クルマ選びにおける決定的な要因の1つとなるでしょう。