ホンダには、屋根どころかドアも無い、斬新すぎるデザインの「“4人乗り”軽トラック」が存在しました。一体どのようなモデルなのでしょうか。
■斬新すぎるホンダ「屋根なし軽トラ」とは
ホンダには、ワンボックスタイプの軽自動車として「バモス」というクルマが知られていますが、実はこれは2代目にあたるモデル。
一方、初代モデルのバモスはワンボックスとは全く異なる、斬新なデザインの「軽トラック」でした。
多くの人がイメージするであろう、ワンボックスタイプの2代目バモスの正式名称は「ホンダ・バモス」で、1999年から2018年まで販売されたロングセラーモデルです。
同車は、コンパクトな軽規格ながらも広い車内と取り回しのよさ、小気味よく回る660ccエンジンを備え、高い人気を獲得しました。
そしてこのホンダ・バモスの先代となるのが、1970年から1973年までの約3年間のみ販売された「バモスホンダ」です。
バモスホンダは、ホンダのクルマでは数えるほどしかない「車名の後に“社名”が付く」珍しいモデルで、そのボディはオープンタイプのピックアップトラック。
乗車人数は「2人乗り」と「4人乗り」の2種類が用意され、運転席も後部座席もむき出しのフルオープンタイプと、幌で覆われた「フルホロ」の2タイプがありました(「フルホロ」は4人乗りのみ)。
なによりも斬新な特徴が、オープンタイプであることに加えて「ノードア」な点。
スムーズな乗り降りが可能なため、乗り降りを頻繁に行う仕事での利用を想定して開発されており、当時の資料によると「配達など機動性を特に必要とする仕事にピッタリ」と説明されています。
いちおう座席には保護用ガードパイプが付いていて、走行中に落下しないよう配慮されていますが、現在では考えられない仕様でした。
そんなバモスホンダパワーユニットは、空冷4サイクル2気筒OHCエンジン(TN360E型)をミッドシップレイアウトで配置。
当時としては高出力の30馬力を発揮し、悪路でも力強い走りを生み出します。
またサスペンションはマックファーソン式独立懸架とし、乗り心地も悪くありませんでした。
このように、ユニークな設計とタフなエンジンが魅力の「バモスホンダ」ですが、後に制定された保安基準を満たせないということで1973年に販売が終了。
それから26年の時を経て、初代とは全く異なる形ではあるものの「バモス」の名前を継ぐクルマが生まれることになったのです。
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このバモスホンダは、競合モデルが存在しないほどに個性的な1台ということもあり、現在もマニアックな人気を誇ります。
それでいて生産期間も短いため中古市場に出回っている台数は少なく、価格の高騰から200万円以上のプライスが付いていることも珍しくありません。
かつてホンダが生み出したユニークな名車に乗ろうと考えるならば、ある程度の出費は覚悟しないといけないようです。