マツダのアイデンティティのひとつでもあるロータリーエンジンは、さまざまなコンセプトカーに搭載がアナウンスされてきました。そんなロータリーエンジン搭載のコンセプトカーの中でも非常に印象的なモデルと言えるのが、2007年に世界初公開となった「大気(たいき)」です。どのようなモデルなのでしょうか。
■ロータリーエンジン搭載のライトウェイトスポーツカー「大気」
2023年10月に開催された、ジャパンモビリティショー2023で世界初公開となったマツダのコンセプトカーである「アイコニックSP」は、単なるデザインスタディと思いきや、翌年の東京オートサロンでロータリーエンジン開発グループが立ち上げられたことが明らかになるなど、着々と市販化へ向けて動き出しているようです。
そんなマツダのアイデンティティのひとつでもあるロータリーエンジンは、このアイコニックSPをはじめとしたさまざまなコンセプトカーにも搭載がアナウンスされてきましたが、そんなロータリーエンジン搭載のコンセプトカーの中でも非常に印象的なモデルと言えるのが、2007年の東京モーターショーで世界初公開となった「大気(たいき)」ではないでしょうか。
このモデルは「流(ながれ)」、「流雅(りゅうが)」、「葉風(はかぜ)」に続く、マツダの当時のデザインテーマである「Nagare(流れ)」デザインの第4弾として発表されたもの。
このNagareデザインとは、静止しているときも動きを感じさせるような表現方法をテーマとしたもので、そのテーマをさらに洗練・進化させ、このシリーズの頂点を極める圧倒的な存在感と、地球を包む大気をイメージさせる姿を表現したとされるのが、この“大気”だったのです。
エクステリアのデザインは、空気の流れが目に見えるデザインをコンセプトに、空から舞い降りてきた2枚の羽衣のイメージを具現化。
インテリアでは鯉のぼりの美しさにインスピレーションを受けて「エアチューブ」をコンセプトワードに掲げ、ダッシュボード、シートからドアトリムまで、風の動きを視覚的に体感できる空間を創造したとされていました。
そのため、2枚のドアは跳ね上げ式の優雅なものとなっており、美しさと解放感を兼ね備えたグラスキャノピーや独立したリアタイヤなど、デザインコンセプトだからこそできたと言っても過言ではないスタイルとなっていました。
そんなやや現実離れしたデザインの一方で、メカニズムとしてはスポーツモデルの不文律であるクーペフォルムやショートオーバーハングはしっかり守っているほか、パワートレインには次世代RENESIS(16Xロータリーエンジン)をフロントに搭載し、後輪を駆動するというライトウェイト2シータースポーツに仕上がっていたのです。
なお、この次世代RENESISは排気量をRX-8に搭載された654ccから800ccに拡大し、直噴化やアルミ製のサイドハウジングを採用した完全新開発のものであるとアナウンスされていました。
このモデルはあくまでデザインコンセプトではありましたが、15年以上が経過した今見ても斬新で、未来を感じることができるデザインであったことは間違いないところです。