トヨタ「ハイエース」や「タウンエース」といった「エース」の名称が付されるバンシリーズは高い支持を獲得していますが、実は海外には日本では知られていない「エース」があります。乗用タイプも用意されるなど、かなり魅力なモデルなのです。
■日本にはないトヨタの「エース」
トヨタのビジネスカーと言えば「ハイエース」や「タウンエース」など、“〇〇エース”という名前が知られています。
いっぽう、海の向こうの欧州地域では日本では販売されていない「プロエース」なるモデルが人気を博しています。一体どのようなクルマなのでしょうか。
このプロエースには、最も大きなボディを持つ「プロエースマックス」を筆頭に、プロエースと小型の「プロエースシティ」という3種類が用意されており、中には乗用モデルの「ヴァーソ」と名付けられたモデルも存在しています。
その中でもプロエースシティは扱いやすいサイズに、7人乗り仕様もラインナップされるなど、日本へ導入されても人気の出そうなスタイルとなっているのが特徴です。
ボディサイズは全長4403mm(ロングモデルは4753mm)×全幅1848mm×全高1796-1812mm、ホイールベース2785mm(ロングモデルは2975mm)。
日本のハイエースやタウンエースは運転席下にエンジンを搭載し、短いボンネットを備える「セミキャブオーバータイプ」のボディとなっていますが、プロエースシリーズはフロントにエンジンを搭載。
一般的なボンネットを備えるスタイルとなっている点が大きな違いで、どちらかというと欧州の商用バンとしてはこちらが主流のスタイルとなっています。
それもそのはず、実はプロエースシリーズの正体は、2012年に欧州トヨタとPSAプジョー・シトロエン(現:ステランティス)が協業し、OEM供給を受けて販売されているものなのです。
そのためプジョー、シトロエン、そして現在はオペルやフィアットブランドからも兄弟車がリリースされているのです。
そしてプロエースシティは、日本でも販売され人気を博しているシトロエン「ベルランゴ」やプジョー「リフター」、フィアット「ドブロ」の3モデルとは兄弟車といった関係となっており、どことなく欧州車チックな雰囲気を醸し出しているのも理由のひとつ。
ただし、フロントマスクなどはトヨタ独自のデザインのものが与えられています。
乗用モデルとして、しっかり加飾が施された「プロエースシティ ヴァーソ」だけでなく、極力シンプルに、リアの窓すらないパネルバン仕様もラインナップする商用モデルまで、幅広いバリエーションを持っているのも特徴となっています。
基本的にはステランティスからOEM供給を受けるモデルということもあり、パワートレインは直列3気筒1.2リッターターボと、直列4気筒1.5リッターディーゼルターボと日本で販売されているプジョーやシトロエンのモデルでおなじみのものが搭載されているほか、330kmの航続距離を持つBEVモデルもラインナップされています。
このように、日本で販売されているトヨタ車とは一線を画す雰囲気を持つプロエースシリーズ。
一部の並行輸入業者が日本へ導入しており、実は日本で乗ることも可能となっているので、どうしても人と同じミニバンには乗りたくないという人は、探してみてはいかがでしょうか。