国土交通省は、10月1日から始まる「新しい車検」について発表をしました。
■車検時に新たな検査項目「OBD検査」が追加、どんな装置をどうやって検査するのか
2024年9月4日に国土交通省は、同年10月1日より開始される「新しい車検」について発表しました。
近年、普及する自動ブレーキや車線維持機能といった先進安全技術の普及拡大に伴い、自動車技術の電子化・高度化が急速に進展しています。
今後の自動運転技術の進化・普及などに伴い、加速度的に拡大する見通しです。
令和4年では、新車乗用車の97.8%に自動ブレーキが搭載されており、94.8%の新車にペダル踏み込み間違い時加速抑制装置が搭載されています。
これらの装置が故障した場合、期待される機能が発揮されないばかりか、誤作動などにより事故につながるおそれがあるため、定期的な検査が必要になります。
国土交通省では、平成29年度より「電子装置の検査(OBD検査)」の導入について検討を重ね、令和1年の道路運送車両法改正等により関係法令を整備し、2024年10月1日より、車検の検査項目として追加されます。
これにより、先進安全技術の故障による不作動・誤作動を防止します。
OBD検査のOBDとは、「On Board Diagnostic」の頭文字をとったものです。
On Boardとは「クルマに載っている」、Diagnosticとは「診断をする」を意味し、つまりOBDとは「車載式故障診断装置」を表します。
これまで日本の車検制度では、コンピュータ制御装置を検査の対象としておらず、あくまでもクルマの機械部品の状態や排気ガスの状態などが検査の基準になっていました。
警告灯が点灯していてもクルマの状態が基準に適合していれば、車検は合格になっていました。
2021年にOBD検査制度の先行版ともいえる「OBD点検制度」が開始されました。
これは、OBDが正常に機能しているかどうかを確かめる項目です。
メカニックは車検の際に、エンジンのスイッチをオンにしたときに警告灯が点灯し、始動後に問題なく警告灯が消灯することを確認します。
もし警告灯が点灯を続けたり、あるいはまったく点灯しない場合は故障となり、メカニックが必要な整備をして正常に機能するようにしなければ、車検に合格しなくなったのです。
今回導入されたOBD検査では、専用の機器(検査用スキャンツール)を車両のコンピュータ(ECU)に接続して行います。
運転支援装置(自動ブレーキ等)、自動運行装置、排出ガス抑制装置が対象です。
OBD検査の結果、故障が確認された場合には、修理しなければ、車検に合格しません。
これらは、令和3年10月(輸入車は令和4年10月)以降の新型車のみが義務の対象となります。
一部検査不要の場合もあり、以下がその対象です。
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・車検の日が令和6年9月30日以前(輸入車は令和7年9月30日以前)
・車検の日が形式指定年月日から2年経過していない。
・車検日が初度登録年月または初度検査年月の前月の末日から起算して10ヵ月を経過していない。
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