2023年10月におこなわれた第1回「ジャパンモビリティショー2023」で大注目を集めたダイハツ「ビジョン コペン」が、トヨタと共同開発で市販化へ向けて動いているとSNSなどで噂されています。果たして次期「コペン」はどうなるのでしょうか。
■新型「コペン」開発の裏には「トヨタ」の影が!?
東京モーターショーから大きく装いをあらめて2023年10月に開催された第1回「ジャパンモビリティショー2023」で、ダイハツが出展したコンセプトカー「ビジョン コペン」は大注目を集めました。
ビジョン コペンは、初代コペンのデザインを面影に残した電動開閉ルーフ「アクティブトップ」を持つ2シーターのオープンカーで、全長3835mm×全幅1695mm×1265mm、ホイールベース2415mmのコンパクトなボディサイズと発表されました。
ビジョン コペンのパワートレインは、カーボンニュートラル燃料の使用を見据えた1.3リッターのエンジンでFRレイアウトとしています。
ダイハツはビジョン コペンについて「走る喜びに寄り添うカタチ」とうたい「コペンのDNAである風とともに走る喜びを進化させるオープンカー。研ぎ澄まされたデザインと運動性能で、オープンエアの走る喜び・楽しさを味わえます。」と伝えていました。
ダイハツからこれ以上の情報はありませんが、「次期コペンは普通車のライトウェイトスポーツカー」といった、市販化を希望する声が多数上がりました。
そんななか、クルマのバーチャルチューナーであるTheo throttle氏が、ビジョン コペンの市販モデルを予想したレンダリング(イメージCG)を制作。自身のSNSに投稿しました。
レンダリングでは、ライト類やホイールはリアリティのある造形に落とし込まれ、現実離れしがちなコンセプトカーをうまく市販モデルらしいものに描いています。
またオープンカーのビジョン コペンですが、Theo throttle氏はクーペモデルのレンダリングも作成しています。
ここでカンの鋭い方は、トヨタのコンセプトカー「S-FR」が脳裏をよぎったのではないでしょうか。
S-FRは、2015年開催の第44回「東京モーターショー」で出展されたコンパクトスポーツカーで、ボディサイズは全長3990mm×全幅1695mm×全高1320mm、ホイールベース2480mmと発表されました。
パワートレインについては詳細がないものの、フロントミッドシップの後輪駆動で6速マニュアルトランスミッションを搭載するライトウェイトスポーツカーと伝えられていました。
ボディサイズはビジョン コペンと同じくらいで、FRレイアウトという点は共通です。
トヨタとダイハツの関係は周知のとおりですので、1.3リッターのエンジンを搭載したライトウェイトスポーツカーないしはオープンカーを、トヨタとダイハツが現在共同開発中であるとしても不思議ではありません。
S-FRは、2015年の東京モーターショー閉幕後、一時は開発が進むも最終的に凍結されたという確度の高い噂が流れ、市販化が絶望的になっていました。
しかし今年2024年春になって、S-FRの開発“再始動”の噂がSNSなどで流れました。
■新開発1.3リッターエンジンは次期コンパクトカーにも関わっている!?
S-FR開発再始動の背景には、トヨタのコンパクトカー開発と深く結びついているといいます。
その車名は、かつてトヨタが販売していたエントリークラス(入門車)のコンパクトカー「スターレット」との説が濃厚だというから驚きます。
トヨタのラインナップでは、少し前までコンパクトカー「ヤリス」の下に位置する「パッソ」が入門車の位置づけとしてありました。
しかしパッソおよびOEM元のダイハツ「ブーン」がモデル末期にあることや、ダイハツの不祥事が重なったためか、共に現在では販売が終了しています。
パッソ/ブーンはコンパクトで使い勝手が良く廉価であることなどから、軽自動車からステップアップするユーザーやビジネスユーザー、レンタカー事業者など幅広いユーザーから支持を集める重要なモデルでした。
トヨタはパッソ/ブーンの次期型を開発中で、担当者らはコードネーム的に「スターレット」と呼んでいるという訳です。
そしてその次期モデルでは、スポーツモデル「GRスターレット」も開発中という情報も含まれていました。
トヨタのスポーツモデル「GRカローラ」「GRヤリス」に搭載される1.5リッター直列3気筒ガソリンターボを、1.3リッターにスケールダウンした新開発エンジンが搭載され、そのエンジンは「S-FR」にも流用されるといいます。
真偽のほどはまったく不明ですが、そのストーリーは妙に現実的に映ります。
コペンの現行モデルは2014年にフルモデルチェンジを受けた2代目で、もうすでに10年選手になりました。
年々厳しくなる排ガス規制や、強化される安全規制に対応し続けるには厳しい状況です。
いまや軽自動車で唯一のスポーツカーかつオープンカーとなってしまったコペンはいまでも根強い人気があり、ローカルなファンクラブが結成されているほど。
かといってメーカーは、かつてほどのスポーツカー需要がない現在に新型スポーツカーを単独で開発する困難さはいうまでもありません。
しかしトヨタとダイハツが共同で開発するのは、筋が通る現実的な話ではないでしょうか。
さらにトヨタとOEM供給などの提携を実施しているスズキが開発に加わり、新型スポーツカー「カプチーノ」(仮称)をつくるとすれば、数が売れないスポーツカーでも新型を世に送り出す可能性もさらに高まります。
もし実現すれば、小型スポーツカー市場も大いに盛り上がることでしょう。