かつて三菱の発表した「MI-TECHコンセプト」とは、一体どのようなクルマなのでしょうか。
■三菱の「ド迫力SUV」に注目!
三菱は「東京モーターショー2019」にて、「MI-TECHコンセプト(以下、マイテックC)」というコンセプトカーを出展しました。
このマイテックCとは、一体どのようなクルマなのでしょうか。
三菱は、2023年3月に新中期経営計画「Challenge 2025」を発表した際、クルマの電動化についても触れ、2028年度までの5年間(当時)で電気自動車(EV)を9車種投入すると述べました。
実は三菱のEVの歴史は古く、その起源は1960年代にさかのぼります。
当時は排気ガスによる大気汚染やクルマの増加による騒音が社会問題となっており、三菱では打開策となるEVの開発を進めることにしました。
そして1964年から長年にわたって研究・開発を続け、45年後の2009年にようやく世界初の量産EV「アイミーブ」を発売することに成功。
このときすでにプラグインハイブリッドEVシステムが開発途中となっていたことから、2013年には、SUVの悪路走破性や走りの楽しさ、電気を取り出して使えるという機能も持ったプラグインハイブリッド(PHEV)車「アウトランダーPHEV」を発売します。
さらに2020年には、爽快でありながら力強さを感じる走りを両立させた、電動SUV「エクリプスクロスPHEV」を完成させたのでした。
今回紹介するマイテックCも、そんな三菱の電動技術によって生まれた、PHEVのSUVです。
マイテックCのエクステリアは、「ドライバーの冒険心を刺激するデザイン」をコンセプトに開発された、ダイナミックなバギータイプ。
オープンボディの2シーターレイアウトというスポーティなスタイルです。
フロントフェイスには三菱の象徴となる「ダイナミックシールド」を採用しつつ、グリルにカッパー色の差し色を入れることにより、ハイパフォーマンスなEVとしての主張を強調しています。
また、ヘッドランプが横向きのT字型になっているのも特徴的。
バンパー下部はアルミ素材のスキッドプレートを両サイドに配し、ボディをガードしつつ内側を吸気口としています。
サイドでは大きく張り出したオーバーフェンダーと大径タイヤによって、SUVとしての力強さ、機動力の高さ、安定感を表現。
まるで金属のインゴットを切削機械で切り出したようなボディは重厚感とシャープさを表現し、切り出した面をサイドステップに利用することで、実用性とデザイン性を両立させました。
リア部分は、大きく六角形に切り出した造形になっていて、やはりSUVとしての力強さを感じるデザインです。
また、テールランプもヘッドランプとおなじくT字型にすることで、前後で統一感を持たせています。
インテリアは、インストルメントパネルを水平基調とし、クルマの挙動がつかみやすい機能的なデザイン。
さらにインストルメントパネルとハンドルにカッパー色のラインを入れることで、水平基調をより強くしています。
インストルメントパネル中央部には鍵盤型のスイッチを配置し、ひと目で理解しやすい機能性と操作感を実現。
フロントガラスにはクルマの挙動や地形の認知、最適なルート案内などの情報を視覚的に表示することで、運転を支援する機能もあります。
そんなマイテックCのパワートレインには、従来のガソリンエンジンに比べて軽量、小型なガスタービンエンジンを搭載。
ガソリン以外の軽油、灯油、アルコールなどさまざまな燃料が使用可能です。
駆動方式は「Quad motor(クアッドモーター)4WDシステム」という三菱独自の4モーター式4WDで、片側のタイヤが空転するような悪路でも、接地輪に駆動を伝えて走破します。
また左右のタイヤを逆回転させることで、その場で180度回転させるという新感覚の走行体験も可能とのこと。
先進安全装備としては、上述したフロントガラスに情報を表示する機能を搭載。
AR技術を使ったこの機能により、台風などの悪天候で視界が悪くても、周囲の交通状況を正確に把握することができます。
さらにレーダークルーズコントロールや車線維持支援機能を筆頭とした、「MI-PILOT(マイパイロット)」も搭載しています。
※ ※ ※
三菱が長年培ってきた電動技術と、SUVを融合させたマイテックコンセプト。
2028年度までに投入すると宣言している9車種の中に、製品化されたマイテックコンセプトが含まれている可能性もゼロではありません。
ガスタービンエンジンというめずらしいエンジンを搭載していることもあり、もし量産化に成功したらさまざまな燃料の選択肢が増える、画期的なクルマになりそうです。