ダイハツには、かつて「ストーリアX4(クロスフォー)」というクルマが存在しました。一体どのようなクルマだったのでしょうか。
■ダイハツの「爆速コンパクトカー」が凄い!
ダイハツには、かつて「ストーリアX4(クロスフォー)」というクルマが存在しました。
このストーリアX4とは、一体どのようなクルマだったのでしょうか。
ストーリアは、ダイハツが1998年から2004年まで生産、販売していた、コンパクトハッチバック。
その車名はイタリア語で「歴史」を意味し、「スモールカーの新しい歴史が始まる」という期待を込めて付けられました。
そしてこの記事で紹介するストーリアX4は、ストーリアに複数用意されたグレードの中のひとつですが、一般向けというより競技用モデルとして開発された特殊な存在です。
当時、ストーリアX4はストーリアのカタログには載っておらず、代わりに専用のA4サイズのリーフレットのみ用意されました。
受注生産や限定生産という形こそ取らなかったものの、知名度は低く、ディーラーの従業員でも存在を知らない人がいたとのこと。
発売当初はパワーウインドウはおろかエアコンすら搭載されておらず、如何に“走ること”だけに特化したクルマだったのかがうかがえます。
後にエアコンはディーラーオプションで付けられるようになり、パワーウインドウはマイナーチェンジによって前席のみ採用されましたが、それでも市販車としては異例と言えるほど尖ったクルマであることには違いありません。
ボディサイズは全長3660mm×全幅1600mm×全高1450mm、ホイールベースは2370mmと非常にコンパクト。
エクステリアは、樹脂色のままの黒いドアミラーとドアノブが特徴で、リア部分の窓3面には無着色の素ガラスが使われています。
インテリアは、マイナーチェンジ前とパワーウインドウが装備されたマイナーチェンジ後で異なり、前者は普通のクルマという感じですが、後者は競技用のクルマらしいデザインのハンドルに変わっています。
またマイナーチェンジ後は、ドアトリムにコインホルダーがついており、走り特化のクルマだったマイナーチェンジ前よりは少しだけ利便性が向上したクルマになりました。
パワーユニットには、最大出力120馬力・最大トルク127Nmを発揮する713ccの直列4気筒DOHCターボエンジンを搭載。
駆動方式は4輪駆動のみで、燃料はハイオク専用となっており、レギュラーガソリンは使用禁止です。
このストーリアX4の排気量は、他のグレードが搭載する1000ccもしくは1300ccよりも遥かに小さく、その理由は「全日本ラリー選手権」というモータースポーツの大会の、最小排気量クラスの出場資格を得るためです。
当時の基準では、ターボ搭載車の場合、排気量に1.4をかけて1000ccに収まることが出場の条件だったため、「713×1.4=998.2」と1000に収まり、出場資格を得ることができたのでした。
2002年からは条件が変わり、ターボ搭載車の場合、排気量に1.7をかけて1400cc以下であれば出場できるようになって、出場できるクルマの幅が拡大。
それでもストーリアX4の走行性能があまりに優秀だったことや、直接的なライバルが不在だったこともあり、同大会でストーリアX4は主力車種として第一線で活躍し続けました。
ラインナップされたボディカラーはホワイト1色のみ。
新車価格は当時、139万円で売られていました。
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市販車の中の競技向けグレードとして登場した、ストーリアX4。
普段使い用としてはあまり需要がなく、約800台という販売台数に終わったものの、モータースポーツでは輝かしい実績を残しています。
現在はダイハツといえば一般向けの軽自動車のイメージが強いですが、このようなクルマを作っていた過去があることは興味深く、また同様の個性を持ったモデルの復活を期待します。