クルマのインパネの目立つ場所に三角形が描かれた赤いボタンが配置されています。これは「ハザードランプ」のスイッチですが、意外に使い方を知らない人も多いようです。どのようなときに使うのでしょうか。
■ハザードランプ」の正しい使い方ってどんなもの?
クルマのインパネ中央の目立つ場所には「三角形が描かれた赤いボタン」が配置されています。
これは「ハザードランプ」を点灯させるスイッチであることを知っている人は多いかと思いますが、どのようなときに使うべきなのか正しく理解していない人もいるようです。
ハザードランプはいつ点灯させるべきなのでしょうか。
ハザードランプの正規式名は「非常点滅表示灯」といい、道路交通法では以下の場合に点灯させることが義務付けられています。
まずは「夜間に駐停車するとき」。道幅5.5m以上の道路に駐停車する場合はハザードランプの点灯が義務付けられています。
一方、標識によって「駐停車禁止区域」の場合はハザードを使用しても駐停車してはいけないことになっています。
次は「通園・通学バスで幼児や小学生などの乗客が乗降しているとき」。こちらも道路交通法に記載されているのですが、通学バスへの乗降中はハザード点灯が必要です。
ただし、大人が乗るようなルート巡回バスの場合は、ハザード点灯の義務がないため、バス停などではウインカーのみを点灯させることが多いようです。
そして、「ハザード」には「危険や危機的状況」といった意味があり、「故障などで道路に駐停車するとき」も点灯させるべき状況です。
何らかの異常が発生したことを周囲のクルマに知らせるために使用するほか、自走できずレッカー車にけん引してもらう場合などもハザードランプを使用します。
また、事前に危険が迫っている場合などに点灯させるのも正しい使用法です。
たとえば濃い霧や吹雪、豪雨などで極端に視界が悪い場合や前方が渋滞で減速・停止する場合など、後続車に自車の存在と緊急事態であることをアピールする必要があるときにも点灯させます。
ちなみに、ハザードランプスイッチに描かれている三角形は、主に三角表示板を模して描かれているとのこと。ここからも、「非常時」であるということを周囲にアピールすることを主な目的としていることが分かります。
そんなハザードランプの使い方として一般的になっているのが、車列に入れてもらったり、道を譲ってもらった場合などにお礼の意味で使う「サンキューハザード」です。
2~3回点灯して感謝を示す行為ですが、法的には正しい使い方ではないとされています。教習所の元指導員のI氏に聞いてみました。
「他に危険を及ぼすような場合には、安全運転義務違反に問われることもあるでしょうが、現状では『道交法施行令で定められた用途以外の使用でも、直ちに違法とは解されない』というのが警察庁の判断だそうです。
しかもすでに一般的にマナーとして定着している使用法であり、これによって取り締まりの対象になることはほぼありません」(元指導員 I氏)
近年問題になっている「あおり運転」などは「道を譲ってやったのにお礼がない!」というささいなことがきっかけで発生することがあるため、可能ならば「サンキューハザード」をして感謝を示すことでトラブルを回避するほうがいいだろうとのこと。
「初心者の方はハザードランプを点灯させるタイミングが分かりにくいかもしれませんが、お礼の気持ちが相手に伝わればいいのです。
もっともダメなのは、駐停車するときにどこにとまるか悩み、そのままユルユルと走行すること。後続車が抜いていいのか判断がしにくくなります。
ハザードの使い方がイマイチわからないという人は、ベテランドライバーの使い方を真似してみるといいでしょう」(元指導員 I氏)
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ハザードランプは意外にも使うシーンが多いようですが、自分のクルマをどう動かしたいかを周りに示すために必要なものです。
商業施設などの駐車場で駐車するときにも点灯させますが、これは周囲に対して「これから駐車します」という意思表示と言えます。
また「サンキューハザード」は道を譲ってくれたドライバーの理解も得やすいことから、トラブルを回避する意味でも使用したほうがいいかもしれません。