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新車で149万円! トヨタの格安「3列ミニバン」なぜ日本で売れず? 全長4.1mに「7人乗り」実現した斬新モデル「セッテ」は隠れた名車か!

くるまのニュース 2024年9月14日 20時10分

トヨタは過去に「シエンタ」よりも遥かに小さな3列シートミニバンを販売していました。一体どんなクルマだったのでしょうか。

■7人乗れる!トヨタの「超コンパクト・ミニバン」

 現在トヨタがラインナップしているミニバンを見ると、「アルファード」や「ヴェルファイア」「ノア」「ヴォクシー」、そして「グランエース」「ハイエースワゴン」など、ボディの大きなモデルが大半で、最も小さなミニバンは「シエンタ」となっています。
 
 しかしトヨタは過去に、シエンタよりもさらに小さな3列シートミニバンを販売していました。

 そのクルマが、トヨタ最小のコンパクトカー「パッソ」をベースに開発されたミニバン、「パッソセッテ」です。

 この車名に付いた「セッテ」とはイタリア語で「7」を意味する言葉で、車名からも“パッソを7人乗りにしたクルマ”であることが分かります。

 そんなパッソセッテは、初代シエンタや「カローラスパシオ」の後継車として2008年12月に発売。

 全長4180mm×全幅1695mm×全高1620mmという小さなボディサイズに3列シートを積み込み、見事に7人乗りというパッケージを実現していました。

 同車はトヨタとダイハツ両社の協力によって企画が進められ、開発と生産もダイハツが担当。

 完成したクルマは両社で別の車名を付けて販売されたため、実はダイハツ側にも「ブーンルミナス」という兄弟車がラインナップされていました。

 そしてパッソセッテの特徴のひとつが後部座席のドアで、多くのミニバンが「スライドドア」を採用する一方で、一般的な「ヒンジドア」が採用されています。

 これには先述のとおりパッソベースの派生モデルということと同時に、「ミニバンとコンパクトカーの中間を担う存在」としてパッソセッテが企画されたことがうかがえます。

 インテリアは、サードシートやセカンドシートは簡単な操作で倒すことが可能で、様々な荷物の大きさや乗車人数に対応できるよう多彩なシートアレンジを備えていました。

 パワーユニットには109馬力を発揮する1.5リッター直列4気筒エンジンを搭載し、4速ATのトランスミッションを組み合わせ、前輪駆動(FF)および四輪駆動(4WD)の駆動方式を用意。

 このように、限られた室内スペースを有効的に活用できる工夫を盛り込みつつ、パッソセッテは車両価格(消費税込)149万円からという戦略的な設定で発売しました。

 こうして安価を武器にミニバン市場を席巻するかと思われましたが、当時すでにミニバンユーザーは利便性の高いスライドドアを求める人が多く、あえてヒンジドアを採用したパッソセッテの販売は、予想に反して大きく低迷。

 状況を看過できないトヨタは、既に生産終了していた初代シエンタを2011年に再販するという異例の策に手を出すことになります。

 復活したシエンタは再び好評を獲得しましたが、その一方でパッソセッテの販売はますます不調に陥り、発売からわずか約3年という2012年3月に販売が終了。

 パッソセッテは「トヨタの安価なミニバン」という最強とも思える要素を取り揃えながら、まさかの「レアモデル」として歴史に消えてしまいました。

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