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無料で渡れる「関門トンネル」が凄い! 「車で5分」歩くと15分…!? 約800mの「海底の旅」を踏破してみた

くるまのニュース 2024年9月15日 19時10分

本州と九州をつなぐ「関門トンネル」。鉄道の関門トンネルと国道2号の関門トンネルがありますが、このうち国道には人が歩ける人道があることをご存じでしょうか。今回、その人道を歩いてみました。

■珍しい! 無料で渡れる「関門トンネル」とは?

 関門トンネルは、山口県下関市と福岡県北九州市門司区を結ぶ、海底トンネルです。
 
 最も古いJR山陽本線が通るトンネル、戦後にできた国道2号のトンネル、山陽新幹線が通る「新関門トンネル」の3本が存在しています。
 
 このうち国道には人が歩ける人道があります。今回、その人道を歩いてみました。

 国道2号の関門トンネルには人道があります。歩行者と自転車が通行可能。つまり、海底の下を、そして関門海峡を歩けるということです。

 地元や周辺地域の人には知られていることですが、関東や関西などといった他の地域に住む人は知らないケースもあるかもしれません。

 今回は、下関側のトンネルから入り、門司側へ向かいます。

 下関側入口の海峡沿いは、「みもすそ川公園」として整備。ここは源平合戦の決着をつけた壇ノ浦の戦いや、幕末から開国へ至る経緯で起こった馬関戦争(下関戦争)の舞台です。

 そのため、公園には源義経と平知盛の像や、100円を入れると発射音と煙が出る長州砲(馬関戦争時の長州側の大砲)のレプリカがあります。関門海峡、そして日本の歴史をも感じられるスポットです。

下関側の人道入口のそばは、駐車場が整備されています。門司側の入口も近くに駐車場があるため、クルマで来てトンネルを歩いて往復することも可能です。

 トンネルへ行くにはエレベーターに乗りますが、その前に料金箱があります。歩いて通る場合は無料です。

 自転車や原付で通る場合は20円がかかり、トンネル内を押して歩きます。つまり、自転車などに乗ったままトンネルを通ることはできません。

 料金箱の前を通り過ぎると、設置されているエレベーターは2基。大きさが異なりますが、小さいサイズでも20名以上の人が乗れるので、どちらも自転車で入っても余裕がある広さです。

 ただし、下関側で55m、門司側で60mとかなりの深さがあるため、エレベーターを待つ場合もあるでしょう。

下関側の人道入口には、すぐそばに駐車場がある(撮影:筆者)

 いよいよエレベーターが海底部分に着き、トンネルを通ります。

 トンネルの端には、国道2号であるためにそれを示す標識も設置されています。

 人道の幅は4m。決して広いとはいえませんが、自転車とすれ違ってもそれほど狭さは感じませんでした。

 また、トンネルは中央部が最も深く、進んで行くと下って上る形となります。

 東京でクルマに乗る人には、首都高湾岸線の東京港トンネルを思い出していただければ、その構造をイメージできると思います。

トンネルを歩く中で、さまざまな人とすれ違いました。

 訪日客と見られるグループもいましたし、カップルや若い女性だけのグループもおり旅行で訪れる人は少なくないようです。

 一方で、ロードバイクではないごく一般的な自転車を押して歩く地元在住らしき人もいました。地元の人には、本当に日常の一部として利用されているのでしょう。

■最も深い中央部には何がある? そこで見たものとは?

 最も深い中央部にたどり着くと、山口県と福岡県の県境を示す路面標示がありました。

ここが、関門トンネルの中央部であり、なおかつ、最も深い部分です。

 もちろん、海底のさらに下なので、たとえガラス張りでも景色が見えるわけではありませんが、「自分は海の下にいる」という不思議な感慨にひたれる場所です。

最も深い中央部にたどり着くと、山口県と福岡県の県境を示す路面標示がある(撮影:筆者)

  門司側に着けばまたエレベーターに乗り込み、地上へと向かいます。

 トンネルの長さは780mなので、一般的な大人のスピードであれば10分程度で通れるでしょう。

 人道を出て、JR門司港駅方面に歩いていけば、「門司港レトロ」と呼ばれる歴史的建造物が立ち並ぶエリアとなっています。下関側と同様、トンネル以外にも見どころがあるということです。

 なお、日本にある関門トンネルと似た性質の道路として、本州と四国に架かる瀬戸大橋は高速道路と鉄道が通っていますが、人が歩いて渡ることはできません。

 また、前出の東京港トンネルも1.5kmに満たない長さながら、車しか通れません。

 そう考えると、歩いて海底を通る関門トンネルの人道が、いかに珍しいかわかっていただけると思います。

※ ※ ※

 あまり例のない人道の海底トンネルですので、下関や北九州に立ち寄られるときには、訪れることをおすすめしたいスポットです。

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