信号が「赤」なのに、矢印で「←↑→(左・直進・右)」と全部の方向が点灯するときがあります。どの方向にも進んでよいのに、なぜ「青」ではなく「赤に←↑→」という点灯にしているのでしょうか。
■青ではない「赤に←↑→」
信号が「赤」なのに、同時に青色矢印で「←↑→(左・直進・右)」と全部の方向が点灯するときがあります。
一見すると矢印なしの「青」の単体表示でもいいように思えますが、一体どのような意味があるのでしょうか。また、このとき進行してはいけない方向はあるのでしょうか。
まず、矢印信号は何のために設置されているのでしょうか。
赤信号で青色矢印の信号が点灯している場合、赤信号がさきに目に留まるため、進むべきか止まるべきか、一瞬のシンキングタイムを挟むことが多いでしょう。
このように、迷う可能性があるにもかかわらず矢印信号が設置されている理由は、通常の青信号よりも実はスムーズに進行できるからです。
青色の矢印信号の設置には特徴があります。交差点が「特殊な形状」もしくは「交通量に偏りがある」ような場合です。
どちらも運転しにくく渋滞しやすいことから、事故件数も多くなりますが、矢印信号は赤信号とともに表示されるため、向かい合う対向車が来ません。そのため、事故の種類として多い「右直事故」などを減らすことができるのです。
そして、赤信号で矢印が「←↑→」と全点灯しているときは、実は反対車線の信号はすべて赤(全赤)の状態です。
つまり、ドライバーは対向車の停止を待たずにスムーズに走行できます。
では、このときに「進んではならない方向」はあるのでしょうか。
実は2012年3月までは、一部地域で「Uターン」ができませんでした。
「3月まで」としているのは4月の改正により、「右折可能の矢印信号が出ている場合、点灯中に転回をしても良い」と、道路交通法が施行されたため。
今では、右矢印が出ているとき反対車線へUターンできることになり(標識などで禁止されている場合を除く)、Uターンをしたいクルマが右折車線の停止線で止まってしまう時間がなくなるため、渋滞の緩和にもつながっています。
このように交通事故や渋滞の緩和のために設置されている矢印が点灯する信号機ですが、都道府県ごとに動作が異なります。
たとえば、矢印が点灯するタイミングも異なっており、いったん赤信号になってから矢印が点灯する場合と、黄色信号の時点で矢印が点灯する場合があります。
実際のところ、矢印信号の運用ルールは警察庁交通局交通規制課長から各都道府県警察本庁に一定の指針が定められていますが、信号ごとに適切な対策を取って運用されているため、矢印信号は全く同じ動作にならないのが現状です。
旅行や出張で住み慣れていない道路を運転するときに、信号がいつもと異なる動きをする信号機があると不安になるかもしれません。
事故防止のための対策ですが、こうしたバラつきがあるのは得策とはいえず、一刻も早い信号や表示の運用の統一が求められます。
※ ※ ※
ちなみに、矢印信号には「黄色」もあります。この黄色い矢印が表示された場合、クルマは進むことはできません。
この正体は「路面電車専用」の信号であり、歩行者やクルマは走行できないと定められています。
主に北海道や広島、長崎などの併用軌道(路面電車)が走っている地域で設置されており、東京でも「東京さくらトラム(都電荒川線)」が走っている北区や豊島区などで見ることができます。
もしこれを無視して路面電車の通行を妨げた場合、違反点数1点と反則金4000円が課せられる可能性があります。
矢印信号のある道路を走るときには、色にも注意して走行しましょう。