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日産「セレナ」が異例の値下げ!? クルマの価格がどんどん上がる! 欲しいクルマは“なる早”で買うべき理由とは

くるまのニュース 2024年9月18日 11時50分

日産「セレナ」の改良がおこなわれ、ガソリン車が値下げされましたが、多くの新型車の価格はどんどん値上がりしています。現状はどうなっているのでしょうか。

■ハイブリッド車は“値上げ”、ガソリン車は“値下げ”した「セレナ」

 日産「セレナ」は2024年9月に一部改良を実施し、ボディカラーの追加や小規模の変更をおこないました。
 
 価格も変更され、ハイブリッドの「e-POWER」は一律で4万9500円値上げされ、例えば「e-POWERハイウェイスターV」は、従来は368万6100円でしたが、改良後は373万5600円になっています。

 その一方で、セレナのガソリン車は、5~10万円値下げ。「ハイウェイスターV」の価格は、従来の326万9200円から316万9100円へと約10万円安い設定となりました。

 その結果、e-POWERハイウェイスターVとノーマルガソリンエンジンを搭載したハイウェイスターVの価格差が大幅に拡大。以前の価格差は41万6900円でしたが、今は56万6500円です。

 最近の一部改良やマイナーチェンジの内容を見ると、機能や装備の向上以上に、価格を上げる車種が多いです。セレナのガソリン車のように、値下げする車種はほとんどありません。

 例えばホンダ「ステップワゴン」の場合、2022年に登場した時の価格は「e:HEVスパーダ」の7人乗りが364万1000円でした。それが2023年の価格改訂で369万6000円に値上げされています。

 2024年にも改めて値上げを行い、e:HEVスパーダの7人乗りは、2024年9月中旬現在で385万円です。2022年の登場時点に比べると、機能や装備を充実させることなく、価格を単純に20万9000円高めました。

 コンパクトカーの値上げでは、トヨタ「ヤリス」が挙げられます。2020年の発売時点で「ハイブリッドZ」のCVTは229万5000円でしたが、2021年、2022年、2024年の改訂で機能や装備を充実させました。

 その代わり価格も高くなり、ハイブリッドZの現在の価格は249万6000円です。発売当初に比べると、20万1000円高くなりました。

 日産「ノートX」の場合、2020年の発売時は218万6800円でした。それがボディカラーの追加などを行った2022年の改良では221万1000円に値上げされ、2023年2月には、改良を伴わない価格改訂で224万9500円になっています。

 さらに同じ2023年の12月にはマイナーチェンジを実施して、フロントマスクや内装のデザインが変わり、LEDヘッドランプを全車に標準装着するなど装備も充実させました。これらの変更でノートXの価格は229万9000円に達しています。

 単純にいえば、発売時点に比べて11万2200円高いですが、この中にはLEDヘッドランプの標準装着化も含まれます。実質的な値上げ額は7万円前後でしょう。

 ホンダ「フィット」では、2020年に現行モデルが登場した時、ハイブリッドの「e:HEVホーム」は206万8000円でしたが、2021年にボディカラーの追加を始めとする改良を実施すると211万7500円になりました。2022年には外観の変更を伴うマイナーチェンジで217万5800円になっています。

 この後も、2023年に単純な値上げを行ってe:HEVホームの価格は221万9800円になり、2024年には装備の充実などにより、改めて232万8700円まで高められています。

 以上のようにフィットe:HEVホームの価格は、発売時点に比べて26万700円高くなりました。コンパクトカーの主力車種が一斉に値上げされたのです。

 ミニバンについても同様です。以前のホンダ「フリード」はベーシックなGの価格が233万900円でしたが、2024年6月にデビューした新型は「エアー」のガソリン車が250万8000円、主力の「エアーEX」は269万7200円に達します。

 そんななか、フリードのライバル車であるトヨタ「シエンタ」も、2024年5月に実施した改良で値上げ。「Z(ガソリン車)」は従来の256万円から268万6600円に変更されたのです。

 これは、前出のフリード エアーEXよりも1万円少々安い設定なのですが、ライバル車の価格を横目で見ながら、改良に伴って価格を高めたというわけです。

■欲しいクルマはなるべく早く買ったほうがいい!

 値上げの理由を各メーカーの開発者に尋ねると「原材料費や輸送費が世界的に高騰して、値上げせざるを得ません」という返答が多く、さらに「原材料費や輸送費の高騰はとても激しく、値上げ幅を上まわります」という話も聞かれます。

 つまり「値上げされた金額は最小限度」という説明です。

原材料費や輸送費が世界的に高騰していることがクルマの値上げの要因(イメージ)

 確かに昨今は、さまざまな商品が値上げされています。電気料金は約6年前に比べて20~30%高くなりました。車両価格の値上げは5~15%ですから、比率としては少ないですが、価格自体が高いので値上げ額は高額です。

 値上げのタイミングで、特に注意する必要があるのは、先に述べた一部改良です。単純な値上げは目立つため、改良に絡めて金額を上乗せします。一種の「便乗値上げ」ともいえるでしょう。

 これまでは、改良前よりも後の方が商品力が高まって買い得度も強まると感じられましたが、昨今は逆に割高感が生じることもあります。ボディカラーを追加したりデザインの一部が変わった程度で、価格が数万円も上がるなら、改良前の方が買い得といえるでしょう。

 そして、この原材料費や輸送費の高騰は、今後短期間で終息することはないと思われます。そうなると欲しいクルマは、なるべく早く買っておくのが得策です。

 ライバル車に先駆けて最初に値上げに踏み切るのは、価格競争力の低下を招くために勇気が必要ですが、現在のように価格の上乗せが当たり前になると状況も変わります。ライバル車の動向を横目で見ながら、改良の度に、さまざまな車種が価格を高めていくのです。

 従って新車を買う時期を早めたいですが、給与は伸び悩み、高額商品のクルマを簡単に購入することはできません。そうなると愛車の車検を改めて通して乗り続けたり、コンパクトな車種に乗り替えることになります。

 このように考えると、新車の売れ行きが伸び悩んだり、ダウンサイジングが進んで軽自動車の販売比率が増えることも納得できます。

 まもなく登場予定のスズキ新型「スペーシアギア」やホンダ新型「N-BOXジョイ」など最新の軽自動車は、予約受注を実施している価格を見ると、敢えて割安な設定に抑えているようです。

 これはピンチをチャンスに変える、したたかな価格戦略ともいえるでしょう。そうなると今後、軽自動車の販売比率は、ますます増えるものと思われます。

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