2019年に開催された第46回「東京モーターショー」のダイハツブースでは、可愛い名前のコンセプトカーが4台同時に世界初披露されました。そのひとつが、ミニバン「WaiWai(ワイワイ)」。どのようなモデルなのでしょうか。
■こんなダイハツの「コンパクトミニバン」が欲しかった!
2019年10月に開催された第46回「東京モーターショー」のダイハツブースでは、可愛い名前のコンセプトカーが4台同時に世界初披露されました。
そのひとつが、愛らしく丁度良いサイズ感のミニバン「WaiWai(ワイワイ)」でした。大きく豪華なことがもてはやされる定番ミニバンとは異なる価値観を提案した新感覚のミニバンコンセプトを、改めて紹介します。
東京モーターショー2019のダイハツブースのテーマは、「つどい ~みんなの暮らしをあたたかく~」とし、人々や日本の各地域がクルマをきっかけに、元気になっていく「あたたかな未来の暮らし」を、ブースと展示車で表現しました。
4台のワールドプレミアとなるコンセプトカーは、暮らしの中で使われるシーンや使う人々の気持ちをイメージして、「IcoIco(イコイコ)」「TsumuTsumu(ツムツム)」「WaiWai」「WakuWaku(ワクワク)」といった可愛さのあるオノマトペがネーミングに使われました。
その中で、心地よい広さのジャストサイズミニバンとして提案されたのが、WaiWaiです。
そのボディサイズは、全長4200mm×全幅1655mm×全高1655mmの5ナンバーに収まる手頃なもので、3列6人乗りの実用的な室内空間を確保していました。
アクティブな女性をメインターゲットとし、デザインも女性を意識した親しみやすいものが目指されています。
ボディフォルムも柔らかな曲線で構成。フロントマスクは、丸目ライトを備えたフロントグリルレスのデザインとすることで、愛嬌ある顔立ちに仕上げられています。
特に印象的だったのが、リアスタイルで、ライト類やエンブレムの配置をフロントマスクと同様とした対称デザインとしていました。
そのデザインの狙いをダイハツに尋ねると、「当時のミニバンは、男性ユーザーを想定した力強いデザインが主流でしたが、女性の運転する機会が増えたことも有り、女性が好むフレンドリーなデザインを目指した」とのこと。
特徴のひとつである前後対称のモチーフは、コペンなどにも通じるダイハツらしい明快でシンプルなデザインを表現したものでした。
機能面では、レジャーシーンを意識したデザインや使い勝手の良さが目指されました。コンパクトなボディながら、長いルーフラインとコンパクトなガラスエリア、シンプルなサイドシルエットを与えることで、ミニバンらしい高い積載性を想起させています。
もちろん、機能性もしっかり作り込まれており、左右共にピラーインドアが生む、前席と後席の間の柱がない優れた乗降性や、ロングサイズのキャンバストップが生む開放感が、楽しく快適なミニバンライフを予感させます。
シートレイアウトにも工夫があり、後部の2列目と3列目のシートは、リクライニング機構と床下収納機能を備えることで、乗員の高い快適性と格納時に広くフルフラットなラゲッジスペースの提供を実現。
もちろん、左右側のいずれかを畳み、多人数乗車と荷物の積載を両立することも可能です。
これによりショートタイプのサーフボードや自転車といった大きめの荷物も楽々と積めるようにすることで、日常からレジャーまで幅広いシーンでの活躍できるにも強みでした。
WaiWaiのサイズ感は、2008年~2012年の期間に販売されていた3列7シーターの「ブーン ルミナス」に近いもので、小型3列シートミニバンとして市場を二分しているトヨタ「シエンタ」とホンダ「フリード」よりも小ぶりに仕立てられており、まさに小型車を得意とするダイハツらしいものといえるでしょう。
同モーターショーでは、軽クロスオーバー WakuWakuが出展され、そのコンセプトは、2020年登場の「タフト」へと活かされましたが、現在までWaiWaiは、市販化されていません。
しかし、その丸目デザインのマスクや温かみのあるシルエットなどのディテールとして、2022年登場の2代目ムーブキャンバスにも活かされたのかもしれません。
ただダウンサイズが当たり前となった現代では、小さな3列シート車のニーズはあると感じるだけに、夢に終わらせず、市販化を目指して欲しいものです。