便利な「オートハイビーム」は、違反になる可能性があるといいます。一体どういうことなのでしょうか。
■状況に応じて手動でも切り替えを
近年の新車には「オートハイビーム」機能が標準装備されています。
便利な機能ではありますが、状況によっては違反になる可能性もあります。一体どういうことなのでしょうか。
2020年4月以降、新型車へオートライトの装備が義務化されました。オートライトは周囲の明るさなどに応じてライトが点灯・消灯する機能で、ライトのつけ忘れや消し忘れ、トンネルが連続する区間などでの煩わしい操作が減ります。
そして、このオートライトとともに標準装備されるようになったオートハイビームとは、夜間ライトが必要な場面で、自動的にハイビームとロービームを切り替えてくれる機能です。
クルマのライト(前照灯)には主にハイビーム(走行用前照灯)とロービーム(すれ違い用前照灯)の2種類があります。
夜間の走行はハイビームが原則であるとされています。これは、ハイビームは100メートル程度先まで視認できるようになっているためで、この状態で走行すると、遠くの歩行者やクルマなどを早く見つけることができます。
郊外の道など、ほかのクルマがおらず、街灯などもない場合は特にハイビームを積極的に活用したほうが事故予防になります。
しかし、市街地など対向車や前走車がいる場合は、ライトが上向きになっているハイビームではまぶしく感じさせてしまい、迷惑になります。
このため、適宜ロービームに切り替えて走行することが必要になります。
ハイビームとロービームの切り替えは、ライトレバーの操作1つで簡単にでき、ハイビームにするとメーター内にイカのような表示灯が点灯しますが、走行中であれば切り替えを忘れたり、煩わしいと感じることがあります。
そこでオートハイビームを活用すれば、こうした操作が不要になるのです。
しかし、大きなデメリットも存在します。
オートハイビームは、フロントガラスなどに備わるセンサーやカメラで相手のクルマを感知して切り替えているため、適切に感知できなければ対向車線からクルマがきてもハイビームのままということもあります。
特に雨の中や見通しの悪いカーブなどでは起こりがちで、アップダウンの激しい道などでは正しく機能しないことが考えられます。
もし、ハイビームのまま走行すると、減光等義務違反として、違反点数1点、反則金として普通車の場合6000円が課せられる可能性があります。
また、これとは逆にロービームからハイビームに切り替わらなかったり、遅れが生じる可能性もあります。
この場合は違反になる可能性は低いものの、歩行者や自転車などの発見が遅れ、事故につながるといったケースも考えられます。
手動でロービームとハイビームを切り替える必要がないため、非常に便利な機能といえるオートハイビーム。しかし、機能は万能ではありません。
機能を過信し、頼りきりにならないようにし、あくまでもサポートとして使用するのがおすすめです。
状況に合わせてきちんと切り替えができているのかを自分の目で確認し、見通しの悪い場所や雨の日などは手動での切り替えも活用するようにしましょう。