中目黒と表参道・青山をつなぐ貴重なルートで、JR山手線をまたぐ「猿楽橋」が、長期通行止めとなりそうです。いったいどうなるのでしょうか。
■都心の「限られた条件」で難工事に挑む
中目黒と表参道・青山をつなぐ貴重なルートで、JR山手線をまたぐ「猿楽橋」が、長期通行止めとなりそうです。
いったいどうなるのでしょうか。
猿楽橋は渋谷駅と恵比寿駅の中間にある橋で、国道246号と駒沢通りのあいだで、貴重な「JRまたぎ」ポイントとなっています。
歴史は古く、完成は1934年です。すでに80年が経過し、老朽化が目立ってきました。そもそも当時とは交通量や車両規格が大きく変化し、耐震基準も違います。これまでつなぎの対処も行われてきましたが、検討会で協議した結果「架け替え」の方針が決まりました。2017年のことです。
現在の猿楽橋は、桁と橋脚が一体的なT型鋼材の「ラーメン構造」です。これに対し、新たな橋は箱桁にアーチを合体させた構造になる予定。アーチが荷重を分担することで箱桁がスリムになり、JRの頭上高さを十分確保でき、かといってアーチも主張しすぎない、絶妙なバランスというわけです。あわせて、道路幅も今より広く確保されます。
さて、猿楽橋の架け替えには様々な困難があります。まず、都心のビル群の中を通すため「今の橋を通しつつ、隣に新しい橋を架ける」ということができません。さらに工事ヤードの用地も非常に限られています。
そして最大の難点が、鉄道の真上の橋なので、終電~始発の深夜帯にしか工事ができないということです。
これらにより、「全面通行止め+工期は一般的な橋より大幅に長くなる」というものになりそうです。2020年に策定された「猿楽橋長期計画」では、通行止めの期間は「10年以上」と見積もられています。
今後は、こうした難工事をどんな仮設で、どんなスケジュールで切りまわしていくかの検討が進められていきます。
2020年に「猿楽橋長期計画」が策定されたあと、さらに詳細な調整が詰められました。それらをふまえて、さっそく9月26日から順次、地元説明会が開催されていきます。
現時点で、いつから猿楽橋が通行止めになるのか、何年間の通行止めになるのかは明らかになっていません。しかし、交通流が渋谷駅方面や恵比寿駅方面へ移り、周辺の混雑具合が変化していくかもしれません。