ロータスは、2024年9月17日にイギリス・ロンドンにて、新型「セオリー1」というコンセプトカーを初公開しました。セオリー1とは一体どのようなクルマなのでしょうか。
■新型「セオリー1」初公開
ロータス カーズ(以下、ロータス)は、2024年9月17日にイギリス・ロンドンにて、「セオリー1」というコンセプトカーを初公開しました。
ロータスは、イギリス・ノーフォークに拠点を置く、スポーツカーメーカー。
長らくライトウェイトスポーツカーを主力モデルにしていましたが、2017年から大幅に路線変更して、スポーツEV主体のメーカーになっています。
今回発表されたセオリー1は、そんなロータス社が今後製造するすべてのクルマの基礎となる、デザインを体現したコンセプトカーです。
セオリー1は「デジタル」、「ナチュラル」、「アナログ」の3つの基本原則を基に作られており、デジタルは没入感、インテリジェント、直感的な体験を、ナチュラルは人間中心のデザインを、アナログはロータスの技術の継続的な進歩を表します。
ロータスは、セオリー1を製作するにあたって、まず「ロータスウェア」という独自のドライバーシステムを開発しました。
ロボット用繊維素材を使った座席とハンドルがリアルタイムで反応し、膨張することで触覚からドライバーに情報を伝えるシステムです。
具体的には、ハンドルの左右のわずかな電流が、曲がるべきタイミングを教えてくれます。
レンジ、ツアー、スポーツ、インディビジュアル、トラックの5つのドライブモードが存在し、あらゆる環境に応じた快適なドライビング体験を実現。これらはソフトロボットなどの専門家集団である、MotorSkinsとのコラボレーションで作成されました。
さらに、世界的な3Dプリント技術企業であるCarbon社と提携して製造した、3Dプリント格子構造ヘッドレストを備えています。
ヘッドレストの重量を軽減し、空気力学を最適化することにより、すべての乗員に最大限の快適さを提供。
ヘッドレストの一部には、イギリスのスピーカーメーカーであるKEFと共同開発した、バイノーラルオーディオシステムが搭載されており、まるでレコーディングスタジオの真ん中に座っているかのような、最高のオーディオ環境を体験することが可能です。
ロータスウェアには、車両の内外で機能する通信デバイスも組み込まれており、たとえば車両の近くに物体や人の存在を確認した際に、乗員だけではなく、歩行者にも通知します。
カメラやレーダーの機能により、暗い場所や悪天候でも車両の周囲200mのあらゆる方向に障害物をスキャンして、把握することが可能です。
上記のような曲がるポイントや障害物の通知には、LEDやレーザー光線、ヘッドアップディスプレイなども使われ、ドライバーは周辺視野を有効活用できるようになり、より安全性が高まるといいます。
現在の自動車は平均100種類の表面材料を使って作られていますが、ロータスはミニマリズムへのこだわりがあり、セオリー1を10種類の表面材料のみで製作しました。
デザインとテクノロジーを簡素化することで、高級車をより身近なものにしたいという狙いです。
ボディサイズは、全長4490mm×全幅2000mm×全高1140mm、ホイールベースは2650mm。
エクステリアは、逆開きとラップオーバー設計により、すべての乗員が乗り降りしやすい独自のドアシステムが特徴的です。
ドアを開いた状態でも最小の占有面積を実現し、2.4メートルのスペースしかない狭い駐車場でも簡単に乗り降りできます。
イタリアのタイヤメーカーであるピレリ社製の超高性能シリーズ「P Zeroファミリー」に属する特注のタイヤが装着され、耐久性の向上、タイヤの摩耗の低減、航続距離の最適化を実現。
同じくロータスのハイパーSUV「エレトレ」、ハイパーGT「エメヤ」、ハイパーカー「エヴァイヤ」といった電気自動車に採用されているのと同じタイヤです。
イギリスのモータースポーツ用ブレーキメーカーである、APレーシング社製の高性能ブレーキも搭載されています。
インテリアは、中央に運転席があり、運転席の後ろに2人が乗れる3人乗りのクルマとなっていて、ドライバーの前方視界が良好であるだけでなく、スイッチ類の操作もしやすい設計です。
乗員の身体に反応するように作られた車内構造となっており、ハンドルやペダルはすべてドライバーに向かって動きます。ハンドルはステアリング比、速度、感触を自由に調整することが可能です。
パワートレインには、最大出力1000馬力のモーターを搭載。これに容量70kWhのバッテリーを組み合わせ、航続距離は402km、0-100km/h加速は2.5秒以内、最高速度は320km/hを実現しています。
セオリー1はあくまでコンセプトカーであり、市販される予定はなく、価格は未定です。