中古車の取り引きが好調です。中でもコンパクトカークラスの人気が高く、前年比5割アップの例もあるといいます。中古車市場に何が起きているのでしょうか。現場の様子をレポートします。
■前年比で中古車相場が「5割アップ」した例も!
昨年2023年の夏ごろから、国内の中古車相場の上昇が続いているといいます。
なかでもいま排気量の小さなコンパクトカーの相場が高く、一年前と比べ20%から50%も相場上昇したクルマも。何が起きているのでしょうか。
中古車の相場は、2023年夏ころから全体的に上昇していました。
コロナ禍で新車の生産調整が行われたことをきっかけに、中古車が見直されるようになったこともあるのですが、理由はそれだけではありません。
中古車買い取り専門店の担当者によると、中古車のなかでもとくに排気量の小さなコンパクトカーの相場が高まっているといいます。
一年前と比べてなんと20~50%も相場上昇した車もあるというから驚きます。
コンパクトカーの中古車相場が上昇している要因は、日本政府による対ロシアの中古車輸出規制でした。
ロシアは以前から日本の中古車がもっとも多く輸出されていく国でした。
コンパクトカーからミニバン、大・小のSUV、商用車のガソリン車・ハイブリッド車、電気自動車(EV)から事故車(パーツ取り用)に至るまで、雑多な車種が輸出されていました。
国内の中古車市場でも売れず、年式規制などで行き先を失ったクルマが最後にたどり着くのがロシアだったというのですから、旺盛な需要がうかがえます。
ただ2023年8月に日本政府は、ロシアのウクライナ侵攻への制裁処置として、排気量1900cc超の自動車(ガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車)とハイブリッド車、PHEV(プラグインハイブリッド車)、EVのロシアへの輸出を禁止に。
この規制をきっかけに、規制をクリアする排気量1900cc以下のガソリン車が、大量にロシアへと輸出されるようになり、日本のコンパクトカーの中古車相場が上昇したのです。
近年国内での中古車需要は、コンパクトカークラスにおいてもハイブリッドモデルが中心となっていましたが、その流れとは別の動きが起きたことになります。
トヨタ「ヴィッツ」や「ヤリス」、日産「ノート」、コンパクトSUVのトヨタ「ライズ」、ホンダ「ヴェゼル」、コンパクトミニバン「フリード」(すべてガソリン車)などが多く輸出されています。
そしていまもっとも相場が上昇しているのが、コンパクトSUVの三菱「エクリプスクロス」やマツダ「CX-3」、コンパクトハイトワゴンのスズキ「ソリオ」だといいます。
前出の中古車買い取り店担当者は、次のように話します。
「たとえば2018年式のエクリプスクロスの場合、2023年7月時点のオークション相場は約150万円でした。
ところが2024年7月には約220万円に上昇し、約70万円も相場が上がったのです。
また2015年式CX-3は約80万円から110万円に、2020年式ソリオは40万円から80万円に、オークション相場が大幅に上昇しています」
この手の量販車は時間が経つごとに相場は徐々に下落するのが一般的で、このように相場上昇するのはめったにないことだと話します。
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2024年にはいってロシア向け輸出が増えているのは、ライズ、ヴィッツ、スバル「レヴォーグ(1.8リッターターボ)、先代フリード、先代ヴェゼル、先代ステップワゴン(1.5リッターターボ)などの各ガソリンモデルです。
こうして見てみると、少し昔の小排気量エンジンを積むホンダ車が多い傾向にあるようです。
これ以外の車種であっても、1900cc以下の国産ガソリン車は下取り価格が高くなる可能性はあります。
ガソリンのコンパクトカーを所有している人は、買い取り査定を依頼して自分のクルマの価値を把握してみると良いかもしれません。