トヨタのベーシックセダン/ワゴン「カローラアクシオ/フィールダー」は、登場から10年以上が経過してもなお、地道な小改良を続けて販売されています。多くの乗用車ラインナップが刷新されるなか、今後どうなるのでしょうか。
■2012年に登場もいまだ「全面刷新」はなし
トヨタを代表する車種のひとつである「カローラ」シリーズは、1966年に初代モデルが登場して以来、58年に渡ってラインナップの一角を担っており、現在は通算12代目が販売中です。
ベーシックな4ドアセダンが基本形のカローラシリーズですが、現在はステーションワゴン「カローラツーリング」やクロスオーバーSUV「カローラクロス」、そしてハッチバック「カローラスポーツ」と、それをベースとしたホッテストモデル「GRカローラ」など、幅広いラインナップを誇っているのも特徴のひとつです。
そんな現行カローラのラインナップには、先代型「カローラアクシオ」(以下アクシオ)と「カローラフィールダー」(以下フィールダー)も継続してラインナップされており、実は隠れたロングセラーモデルとなっているのです。
アクシオ/フィールダーは、現在のところ“最後の5ナンバーサイズのセダン/ステーションワゴン”となっており、使用環境などによって「どうしても5ナンバーサイズのボディでないと厳しい」というユーザーに向けて、新型と併売されているのです。
ラインナップは登場当初からは縮小され、パワートレインは1.5リッターのガソリンとハイブリッドのみで、「EX」のモノグレード設定。ただし、トランスミッションはCVTのほか、ガソリンモデルの2WDに5速MTが残されているのも特徴といえるでしょう。
一方で、時代に即した改良は地道に続けられており、2021年9月には先進安全装備「トヨタセーフティセンス」のアップデートを実施したほか、2024年3月には一部グレードにインテリジェントクリアランスソナーやバックモニター内蔵自動防眩式ルームミラーを装備するといった変更もなされています。
そんなアクシオ/フィールダーは、価格がアクシオで163万9600円から、フィールダーで178万6400円からという極めて低価格なのもあって、ビジネスユーザーから根強い支持を集めています。
セダンは全体的な需要は下がっているものの、不動産業などでは未だに営業車として選ばれる率が高くなっていますし、ステーションワゴンのフィールダーは人も荷物も載せることができるため、商用ニーズに特化した「プロボックス」の代わりに選ばれることが多くなっています。
プロボックスは広い荷室スペースに加え、400kgの最大積載量を誇るビジネスバンですが、4ナンバー登録の商用車であるため、毎年車検(新車時のみ2年)である点や狭いリアシートにハード目な乗り心地というデメリットも存在します。
そのため、そこまで目いっぱい荷物を積むことがないビジネスユーザーにとっては、2年車検(新車時は3年)で、後部座席も普通に使え、乗用車的な乗り心地を持つフィールダーは、十分選択肢になり得る1台ということになるのです。
また、2012年に登場しているアクシオ/フィールダーは、かなり熟成が進んだモデルとなっており、トラブルが少なく、トラブルが出たとしても対策方法が確立されているというのも、ビジネスユースとして使うには頼もしいポイントといえるでしょう。
このように、爆発的に売れるわけではないものの、安定した販売をマークし続けるアクシオ/フィールダーは、販売する側からしてもありがたい存在です。
今後も、安全装備などの法改正がさらに進み、大幅な改良が必要となる状況にならない限りは、小改良を重ねながら販売が続けられるのではないでしょうか。