マツダの開発した「リューガ」とは、一体どのようなクルマなのでしょうか。
■マツダが若者に向けて開発した「リューガ」とは
マツダは、2007年の「北米国際自動車ショー」にて、「マツダ流雅(以下、リューガ)」というコンセプトカーを出展しています。
このリューガとは、一体どのようなクルマだったのでしょうか。
リューガは“次世代の若者”をターゲットにマツダが開発した、4人乗りのスポーティなハッチバック。
当時、若者を対象としたリサーチを実施したところ、「2人乗りのスポーツカーは敬遠するもののスポーツカーのルックスは好む」という結果が出たことから、「仲間たちとカッコいいクルマに乗る」というコンセプトの下にリューガは製作されました。
具体的には、コンパクトカーのサイズでありながらタイヤを四隅に配置することで室内空間を限りなく広げ、なおかつマツダの考える最大限にカッコいいシルエットを投入することが掲げられています。
また、マツダには当時追求していた「NAGARE(ナガレ)」というデザインテーマがあり、リューガはNAGAREシリーズとして第2弾にあたるモデルとしてもデザインされました。
そんなリューガのプラットフォームは、2003年から2013年まで販売していたスポーツカー「RX-8」のプラットフォームをフロントに採用。そしてリア部分は「ロードスター」のプラットフォームを組み合わせています。
こうして完成したリューガのボディサイズは、全長4280mm×全幅1900mm×全高1260mm、ホイールベースは2800mmと、全幅以外は現実的な値です。
エクステリアは、「FLOW(フロー:流れ)」を追求したというNAGAREの名に相応しく流麗な面構成となっており、ボディには空気の流れをモチーフにしたサイドラインや灯火類を配置。
最大の特徴は、大きな2枚のガルウィングドアを使用している点ですが、乗り降りの際に必ずサイドパネルの大半を開閉することになるため室温の保持が難しいことや、ドアを開けないと給油口にアクセスできないといった問題もあり、これはコンセプトカーらしく実用性からは離れた構造でした。
インテリアは、フロントシートの中央に大型のフローティングコンソールが備わった、スポーツカーのように仕切られた空間で、ハンドルが円形ではなく操縦桿のようなU字型になっているのも特徴的です。
またリアシートは、「ペルソナ」などに採用されていたラウンジシートのような形状となっており、フロントシートとは対照的にリラックスしやすい空間となっています。
パワートレインは、E85燃料(バイオエタノール85%とガソリン15%を混ぜた混合燃料)を使用する2.5リッターエンジンを搭載。
駆動方式は前輪駆動でトランスミッションは6速ATであることが判明していますが、詳細なスペックは明らかになっていません。
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このように、若者に向けたコンセプトで作られたリューガ。
ガルウィングドアでカッコよく、後部座席の乗り降りも容易で、ハンドルがU字型というのも面白い構造でしたが、やはり現実的ではない部分が多く、コンセプトカー然としたモデルであったことから、残念ながら市販化されることはありませんでした。
しかしマツダはその後、NAGAREの後継となる次世代のデザインテーマ「魂動(コドウ)」をスタートし、流麗で美しいスタイリングのモデルを次々と発表。
かつてリューガがコンセプトとしていた“カッコいいクルマ”の市販化を実現し、若者への訴求も成功していることから、リューガに込められていたマツダの目的は、すでに達成しているのかもしれません。