高速道路で「逆走」のニュースをたびたび目にしますが、その理由のひとつとして「出口を降りそびれた」というものがあります。ついうっかり出口を逃した場合、どうすれば良いのでしょうか。
■次のICで事情を説明すれば「特別な対処」が可能に
高速道路を走行していて、ついうっかり降りる予定のIC(インターチェンジ)出口を過ぎてしまった、ということはありませんか。
目的地の出口を過ぎてしまったときに覚えておきたい対処法、「特別転回」について紹介します。
特別転回とは、高速道路を走行していて、降りる予定だったICで降りることができなかったとき、その先のICで申し出ることで、目的のICへと戻ることができる制度のこと。
通行料金も、当初降りる予定だったICまでの通行料金となるため、安心して利用することができます。
先日、静岡県に向かうため、横浜青葉ICから東名高速を利用した筆者(自動車ジャーナリスト 吉川賢一)は、裾野ICで降りる予定でした。
しかし考え事をしていたら、ついうっかり通り過ぎてしまいました。
次の沼津ICで引き返そうと思っていたとき、そういえば、特別転回というのがあったなと思い出し、やってみることに。
そこで、沼津ICの料金所で通常のETCレーンではなく、一般レーンに進入し、係員に「裾野で降りるつもりが通り過ぎてしまった」旨を伝えました。
すると「どちらから(高速道路に)乗りましたか」と聞かれたので「横浜青葉です」と答えると、係員さんがマイクに向かって、「○○色のセダン、ナンバー下2桁○○のクルマ、横浜青葉から乗り、裾野で降りる予定が過ぎてしまった模様、特別転回します」と、どこかへ連絡。
その後「特別転回承認」という印が押された高速道路への再流入する経路が記載された紙が渡され、口頭でも経路を詳しく教えてくれました。
このとき係員は次のように説明しました。
「ETCカードは車載器から抜いておき、転回して料金所を過ぎたあとで、ETCカードを再度入れてください」
そこでETCカードをその場で抜き、その後、案内ルートの通りに転回して沼津ICの入口料金所を通過します。
通行券もとらず、ETCカードも挿していない状態です。
その結果、無事に上り線へと流入することができ、裾野ICへと戻ることができました。
■間違っても「逆走」や本線上の「停車」をしては絶対にダメです!
国土交通省によると、この特別転回の申し出件数は、1か月で約3万5000件に及ぶといい、各高速道路会社ともこの特別転回の周知に力を入れているとのこと。
その理由は料金所付近での「逆走」対策にあります。
誤って高速道路に進入してしまった場合や、筆者のように流出を間違えたなどの理由で逆走してしまうことを防ぐために、案内板を設置するなど、利用者が特別転回の申し出をスムーズに行えるように対策をしているといいます。
もちろん通り過ぎることがないようにしたいところではありますが、このようにスムーズに転回できることは、利用する側としては安心できると感じました。
転回するまでの時間もほんの数分で、特になにか怪しまれることもありませんでした。
焦って高速道路上で停止してしまったり、ほんの少しでも逆走したりすることは、命に関わります。
目的のICを過ぎてしまったとしても、そのまま走行を続け、次のICで申し出るようにしましょう。
※ ※ ※
ただ、どんなICでも特別転回ができるわけではありません。
たとえば係員のいないスマートICでは対応できません。そのほかにもICの構造上、特別転回に対応できないICもあるといいます。
ただその場合も、その先のICでそうした旨を伝えることで、対応してくれるとNEXCO各社では説明しています。
たとえどんな場所であっても、自己判断で高速道路上の転回や後退をすることは絶対に避け、係員に相談するようにしましょう。