人気ドライビングシミュレーターゲーム「グランツーリスモ」に登場するクルマとして、スズキが提供している「スズキ ビジョン グランツーリスモ」とは、一体どのようなクルマなのでしょうか。
■スズキの超本格「2ドア・スポーツカー」は“隼”のエンジン搭載!
1997年の誕生から現在まで、27年続いている人気ドライビングシミュレーターゲーム、「グランツーリスモ」シリーズ。
そのゲーム内で登場するクルマとして、スズキが提供しているのが「スズキ ビジョン グランツーリスモ」です。
このスズキ ビジョン グランツーリスモとは、一体どのようなクルマなのでしょうか。
スズキ ビジョン グランツーリスモは、「グランツーリスモ7」における2022年5月26日配信の1.15アップデートで追加された、コンセプトカー。
同じくスズキが2001年に「フランクフルトモーターショー」および「第35回 東京モーターショー」で出展した、「GSX-R/4」というコンセプトカーを、最新の電動化技術や軽量化技術を使って蘇らせたクルマという位置付けです。
その構造は2シーターのオープンカーとなっており、ボディサイズは、全長4018mm×全幅1843mm×全高1145mm。
スズキの軽量化技術によって、車両重量はわずか970kgしかありません。
エクステリアは、スズキが2003年から2005年まで販売していた「スイフトスポーツ」と、1991年から1998年まで販売していた「カプチーノ」を融合したようなデザインで、ロングノーズのボディ形状が特徴的。
インテリアは、GSX-R/4でも採用した、バイクのフレームのようなデザインとなっています。
パワートレインは、スズキのフラッグシップバイクである「隼」の1340cc直列4気筒エンジンをフロントミッドシップに搭載して後輪を駆動し、フロント駆動用に2つのモーター、リア駆動用に1つのモーターを組み合わせた、AWDレイアウトを採用。
システム全体でのスペックは、最高出力432馬力・最大トルク610Nmに達します。
また、スズキ ビジョン グランツーリスモには「Gr.3仕様」という別バージョンも用意されています。
Gr.3はゲーム内の車両性能によるグループ分けで、現実世界でいうところの「GT3車両」に相当するクルマのこと。
簡単に解説すると、GT3というのは、2005年にヨーロッパで立ち上げられたレースの名前です。
当時、GTレースにはGT1、GT2というものもあり、前者はメーカー側の競争によって参加費用が高騰、後者はアマチュア中心であり、勝てる車両が限られたことから、どちらも参加車両が激減してしまいました。
後から登場したGT3は、参加車両の走行性能が全車両同じになるように調整がかけられ、誰でも勝てるチャンスが与えられたため、GTレースの主流に。
走行性能にこだわって作る必要がなくなったことで、クルマに個性を出す楽しみが生まれ、見る側も参加する側も楽しめるレースになったことも人気が出た要因の1つでした。
スズキ ビジョン グランツーリスモのGr.3仕様は、先ほど紹介した通常仕様のようなAWDレイアウトではなく、シンプルなFRレイアウトに変更。
パワートレインは、隼のエンジンブロックを2基組み合わせた排気量2680ccのV8エンジンとし、さらにツインターボを装着、最高出力586馬力モンスターエンジンへと進化しています。
エクステリアは、通常仕様よりも拡大したフロントスポイラー、前後ディフューザーやGTウィングなどの空力部品の追加と、フロントフード中央のエアダクト追加などで、強力なダウンフォースを得られるデザインへと変更。
各部のカーボン化による軽量化も行っています。
ボディカラーは、スズキのモーターサイクルレースのチームカラーである「トリトンブルーメタリック」と「ミスティックシルバーメタリック」をベースとしたカラーを採用し、スズキのモータースポーツへの情熱を強烈に印象づけるカラーデザインとしました。
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ゲームに登場する架空のクルマとして提供された、スズキ ビジョン グランツーリスモ。
実在するコンセプトカーのように細かく設定されており、過去に現実世界で出展されたコンセプトカーを現代の技術で蘇らせたという設定も興味をそそられます。
実は世界各国のさまざまな自動車メーカーもこのようにゲーム用のクルマを提供していて、モータースポーツイベントで大々的に発表されたり、日本カーデザイン賞「ゴールデンマーカー特別賞」を受賞するなど、ゲームの枠に収まらない影響力を持っているのが現状です。