1度でも乗り物酔いを体感すると、2度となりたくないと思うものです。それでも現代では移動中にスマホを見てしまいます。そんなユーザーにAppleは「乗り物酔い軽減機能」をiPhoneに実装しました。
■乗り物酔いが無くなる? そうiPhoneならね!
クルマでの移動が苦手な人に話を聞くとその理由に「乗り物酔い(車酔い)」を挙げることがあります。
とくに車内でスマホを見る行為や読書は乗り物酔いを助長する要因と言えますが、AppleはiOS18の機能として乗り物酔い対策となる「車両モーションキュー」を搭載しました。
これはどのような機能なのでしょうか。
乗り物酔いは、「視界は激しく動いているのに身体があまり動いていないとき」や「視界が止まっているのに身体の感覚は動いているとき」という状況で起きやすいとされています。
これは脳で処理される眼からの視覚情報と揺れを感じる感覚器からの情報に差がある場合といえ、具体的には耳の奥にある人間のバランス感覚をつかさどる「三半規管」が影響しています。
三半規管は3つの管で構成され、頭の回転に伴い半規管それぞれの内部に満たされたリンパ液という液体が動きます。
そのリンパ液の流れを検知した細胞が信号を発生させて脳に送って処理されることで、人間がバランスを保つようになっている大切な部分です。
そして乗り物に乗っている状態では、眼から入ってくる情報量に対し、リンパ液はさほど流れないという情報差の矛盾が生じて自律神経が乱れることより、顔面の蒼白や冷や汗、めまいや頭痛、吐き気を引き起きします。
一般的な乗り物酔いの対策としては、情報量の差を抑えるために「助手席に座る」というものがあります。
これは、後席よりも揺れが少ないことや、外の景色を見ることでカーブや加減速を意識しやすくなるため、身体が自然と対応し、情報の矛盾が少なくなるからです。
一方で現代社会では移動中でもスマホを見てしまうという人も少なからずいます。
そうしたユーザーに対してAppleは、2024年5月に「Vehicle Motion Cues」という乗り物酔いを軽減する機能を発表しています。
そして同年9月16日から配信された「iOS18」では、乗り物での移動中にiPhoneを使うユーザーの乗り物酔いを軽減するのに役立つ「車両モーションキュー」が実装されました。
■iPhoneに「乗り物酔い軽減機能」がついた! 車両モーションキュってなに?
この車両モーションキューは、移動中の車内などで乗り物酔いの軽減に役立つ画面上の機能で、オン/オフ/オートが選べます。
車両モーションキューをオンにすると、画面の端にアニメーションのドットとして表示され、iPhoneの操作の邪魔になることなく車両の動きを表現するもの。
ドットは画面の上段左右、中段左右、下段左右の全6箇所に表示され、iPhoneの動きに合わせて動きます。
例えば、クルマが曲がる際にはドットが横に動き、クルマが加速するとドットが前後に動くことで、前述の情報量の差を抑える効果が期待できるというもの。
実際に筆者も助手席に乗った状態でオンにしてみると、クルマの動きというよりは自分の手に持つiPhoneの動きによってドットが動くことがわかります。
この車両モーションキューの効果に関しては個人差が大きいものとも言えますが、乗り物酔いをしやすい筆者としては「普段よりは酔わないかも」という印象でした。
今回は数十分の体験ですが、高速道路などを使った長距離移動ではもう少し体感できるのかもしれません。
またすでにSNSでは体感したという投稿もあり「車に乗る前は必ず酔い止め飲むレベルで酔いやすい私が実際に使ってみたんだけど1時間ほとんどiPhone見っぱなしでも全然気持ち悪くならなくてビックリした」という声もありました。
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基本的に乗り物酔いをしやすい人はスマホに限らず、1点を集中する行為は避けることが望ましいです。
それでもスマホを見なければいけない、そしてそれがiPhone(iOS18)であれば、今回の車両モーションキューを試してみても良いかもしれません。