すっかり長くなってしまった日本の夏ですが、続く秋の行楽シーズンには、この季節特有のクルマのトラブルがあるようです。どのような故障が発生しやすいのでしょうか。
■秋に最も多い「クルマのトラブル」とは
年々激しさを増す日本の猛暑ですが、その期間もすっかり長くなってしまったようです。
長く厳しい夏を過ごした愛車を手入れせず、そのまま秋を迎えてしまうと、思わぬトラブルに見舞われることがあります。どのような故障が多いのでしょうか。
JAF(日本自動車連盟)が発表した「2023年度 JAFロードサービス 主な出動理由TOP10」(一般道路の部と高速道路の部の合計)によると、年間通してもっとも多いトラブルの1位が「バッテリー」です。
正しくは「過放電バッテリー(バッテリーあがり)」で、稼働回数が73万8257件(33.88%)。
また第3位が「破損・劣化バッテリー」で同17万457件(7.82%)となっており、この2つを足すと稼働回数90万8714件、構成比41.7%と、相当なトラブル発生回数になっていることがわかります。
バッテリーあがりは冬場に多いとよく言われていますが、これは低い気温で電圧低下を引き起こしているのが主な原因になります。
しかし秋も、バッテリーのトラブル発生頻度は高くなっています。
その原因に「エアコンの酷使」「高温下での充放電」というバッテリーを劣化させる主な要因が重なっていることが挙げられます。
気温35℃の猛暑日が連続するのが当たり前になり、真夏日を記録する日が多くなった昨今では、バッテリーへの負荷が大きくなっています。
秋になって昼は夏、夜は晩秋の冷え込みという大きな気温差も、バッテリーのトラブルを引き起こすトリガーになることは珍しくありません。
■秋に多い「クルマのトラブル」第2位とは
2023年度 JAFロードサービス 主な出動理由TOP10の総合第2位は「タイヤのパンク・バースト・エアー圧不足」で、稼働回数44万301件(20.21%)です。
高速道路のみのランキングでは堂々の第1位、同2万432件(40.1%)となり、第2位の「燃料切れ」同6679件(10.53%)と大きく差を広げています。
タイヤの空気圧は、気温10℃上がるごとに約10kPa上昇するとされています。
夏場のタイヤは、外気温のほか高い路面温度、直射日光、走行中の摩擦などという複数の要因で、規定値の倍程度の空気圧に達することがあります。
暑い夏の昼間に少しクルマを走らせるだけで、一般的な規定空気圧を大きく超える約300kPaになることも珍しくありません。
気温の高いときに調整した空気圧は、気温が低くなると低下します。またタイヤの高圧状態はエア漏れの速度が速くなります。すなわち、涼しくなった秋には空気圧が規定値を下回りやすくなるということです。
空気圧が低いままの高速道路走行はバースト(タイヤの破裂)を引き起こします。
このようにタイヤにとって過酷な環境となる夏場は、タイヤの寿命を縮めてしまいます。
この次に多いトラブルとして挙げられるのがエアコン(クルマの空調)です。特に暖房が効かないというトラブルが多いようです。
クルマの暖房が効かないトラブルでもっとも多い原因には、サーモスタットの不具合があります。
クルマの暖房は、エンジンを冷ますラジエター内の冷却水の熱を使用しており、サーモスタットは開閉することで、その冷却水の流量をコントロールしています。
夏場にサーモスタットが酷使されるのは容易に想像できるでしょう。
夏の終わりに涼しくなったら、エンジンが暖まったあとに一度エアコンを暖房に切り替えて、チェックしてみると良いでしょう。
このほか、ワイパーのゴムも夏場の直射日光、高温が劣化を早める要因となるので、チェックをしておいて損はしません。
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今回紹介したトラブルは、秋だけに発生することではなく、年中発生しやすいことではありますが、秋に限らず、季節の変わり目は相対的に起こりやすくなります。
観光、レジャーへと長距離ドライブが増える秋。次におでかけ前の給油時にでも、ガソリンスタンドのスタッフにバッテリーの電圧チェックやタイヤの空気圧をチェックしておくのが良いでしょう。