「自民党総裁選」の投開票が2024年9月27日におこなわれ、石破茂氏が新たな自民党総裁に選出されました。ところで、「いしば」とも読める「国道148号」でも、大きな動きがあるようです。
■高規格化進む「イシバ国道」とは!?
政権与党の次期体制を決める「自民党総裁選」の投開票が2024年9月27日におこなわれ、石破茂氏が新たな自民党総裁に選出されました。10月1日には、新たな日本の総理大臣にも選出される運びとなります。
さて、新首相の「石破(いしば)」氏と縁を感じる道路といえば、国道148号がまるで「いしば」と読めるようで、気になるかもしれません。
この「国道148号」は一体どのような道路なのでしょうか。
国道148号は、長野県と新潟県にまたがり、大町市と糸魚川市を結ぶ延長約70kmの国道です。松本市から北上する国道147号の延長線上でもあります。長野県にとっては日本海沿いへ抜ける貴重なルートで、古くから「千国街道」として利用されてきました。
道路に並行して「JR大糸線」が松本駅から運行されています。平野部は通勤通学に利用されるほか、白馬エリアのスキー場へ特急列車などで向かう人もいます。しかし、北側は一変して深い峡谷を抜ける閑散路線になり、列車は1日数往復しかありません。南小谷駅を境に、南はJR東日本、北はJR西日本が管轄する珍しい事例です。
おりしも、石破氏は自身のSNSで、往年の寝台列車「ブルートレイン」への愛を熱く語ったばかり。大糸線にもかつては夜行急行「アルプス」や夜行快速「ムーンライト信州」が運行されていたことがあります。
ところで、この国道148号は今後、松本~糸魚川を担う大動脈としてパワーアップするかもしれません。それが高規格道路として整備する「松本糸魚川連絡道路」です。
先述のとおり国道147号・国道148号は松本~糸魚川の貴重な列島横断ルートですが、前時代の道路規格で、市街地では生活道路と混在して渋滞や信号待ちがあり、山間部は土砂崩れによる寸断リスクと隣り合わせ。長距離貨物輸送の道路ネットワークとしては規格不足です。
そこで、長野・新潟両県から高規格道路の整備要望が長年おこなわれ、今や少しずつ事業化・工事が進んでいる状況です。
松本糸魚川連絡道路は総延長100km。長野自動車道の安曇野ICから北へ分岐し、国道147号・148号を「バイパス整備」あるいは「現道拡幅・改良」によって「全線60km/h」でスムーズかつ災害に強い道路にしていく各事業の集合体です。
現時点で、事業化済み(国のGOサインが出た)工区は2か所です。
まずは2019年、新潟側で北陸自動車道から分岐する最初の5kmのバイパスが「松糸・今井道路」として事業化しました。2024年9月時点で、まずは用排水路の移設工事や、排水構造物の工事が進められているところ。それらが一段落すれば、いよいよ盛土工事などが始まっていきます。
もうひとつが、2022年に事業化を果たしたばかりの長野県側の「安曇野道路」工区です。長野道から分岐した最初の4kmで、犀川沿いに北上するバイパス部分です。なおその先は、県道「有明大町線」を活用する方針で「追い越し車線の設置」「主要交差点の立体化」といった、幹線道路としての高規格化が進められる予定です。
そのほかにも、事業化の手前の「概略ルート決定プロセス」が進んでいるところがあります。「大町市市街地区間」「白馬村市街地区間」「小谷村市街地区間」「平岩~小滝」「小滝~山本橋」の5工区において、バイパスにするか現道拡幅にするかの検討などが行われています。
今回の総裁選で、石破氏は「防災省」の設置を訴えていました。「AI、デジタルツインなどICT技術を最大限活用する事前防災の徹底と事態対処の高度化」など、道路行政にも貢献がありそうな技術導入に期待がかかります。
国道148号の高規格化「松本糸魚川連絡道路」の整備がどう進むかも、国土交通省でこの事業にどれだけ予算が付くか次第。次期総理の石破氏の手腕と政治方針にも関わってきます。多数の橋梁やトンネル、ロックシェッドなどを抱え、老朽化も課題となっているなか、「新設」と「維持」のバランスをどう保っていくのか、今後の動向に注目です。