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夢のような「すごい技術」をトヨタが初公開! 従来の課題を「カイゼン!」で何が変わった? 溶接で「量産車づくり」にも変化あるか

くるまのニュース 2024年9月29日 10時40分

スーパー耐久シリーズ第5戦(鈴鹿)で、トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)はアーク溶接の新技術「SFA(Sequence Freezing Arc welding)」を発表しました。どのような溶接技術なのでしょうか。

■凄いアーク溶接の新技術が公開された! モリゾウ選手の印象は?

 2024年9月29日にトヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)はスーパー耐久シリーズ第5戦(鈴鹿)で、アーク溶接の新技術「SFA(Sequence Freezing Arc welding)」を発表しました。 
 これまでの溶接技術とは何が異なり、どのような活用方法がされているのでしょうか。

 モータースポーツに参戦するクルマはより、速く走るために様々な試行錯誤の末、カスタム/チューニングが施されています。

 とくにボディの剛性を上げるということは、それだけ核となる部分がしっかりするため色々な部分に影響が出てきます。

 ボディ剛性をあげる方法にはいくつか方法があり、ボディ自体に手をいれる、ロールケージなどの部品を追加するというものがあります。

 またロールケージは、衝突や横転時などにドライバーを守る大切な役目もあり、厳格な規定が設けられています。

 そんなロールケージですが、従来はロボティクスを活用することで、従来、高度な技能や長い制作期間が求められていました。

 具体的には、熟練したアーク溶接の技能が求められるという部分では、熟練者と初心者では溶接技術にばらつきがあり、それにより強度、剛性が異なることで、足回りなどのセッティングにも影響が出てきます。

 もうひとつは、従来ではボディの現物に合わせて1本1本のロールケージを手作業での組み付けという工程だったことから長い制作期間が必要でした。

 この技術開発を担当したGR車両開発部・川喜田篤史氏によれば「従来のロールケージ制作期間は2,3週間でした。例えば、前のレースでクラッシュしてボディを変えなければいけない、でも次のレースとの間が1ヶ月しかなければその大半はロールケージ制作となり、残り1週間くらいでほかの作業をしなければいけません」と話します。

 そんな従来の大きな2つの課題に対して、今回トヨタは「・高度な溶接技能が必要」という部分では前述の「SFA工法」を新採用することで人ではできない品質の溶接を実現。

 具体的な特徴は以下の通りです。

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 1 :溶接強度の向上と軽量化
 2 :アークでのショット溶接が可能
 3 :抜け落ち抑制制御による板隙へのロバスト性向上(隙があっても溶接が可能
 4 :上向き 上り 下りアーク溶接の精度向上
 5 :ブリッジ溶接が可能
 6 :長いワイヤ突き出し量による局所溶接が可能
 7 :エッジ溶接が可能(溶け落ちが制御できる
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 また「SUB ASSY 化」として溶接工程を3つに分割することで作業性を向上させました。

「SFA工法」と「SUB ASSY 化」を組み合わせることで、ビード部にかかるせん断力(母材が破断する 強度)が同じ場合、 SFA 工法のビード重量が従来の工法に比べて約25%軽くなります。

 さらに母材が破断しないせん断強度および剥離強度の場合、 SFA 工法で溶接した場合の強度は従来の工法に比べて約10-25%強くなりました。

 そして最大のメリットは、最短3日でロールケージを組み付けることが可能になったことだと言います。

 また「SFA工法」を使えば、従来の量産車の生産工程による溶接時にしっかりと溶接出来なかった部分、またまったく溶接が出来なかった部分も可能になり、ベースのボディ自体の剛性を高めることも可能になると言います。

スーパー耐久鈴鹿で公開された新技術とは

 そんな「SFA工法」と「SUB ASSY 化」が用いられたのが、スーパー耐久鈴鹿から投入された「GRヤリス」です。

 今回、29日(日曜日)にお披露目されたロールケージですが、投入されたGRヤリス自体は、土曜日にエンジントラブル、トランスミッショントラブルでまったく走れていない状態でした。

 そうした中で、予選走行などで乗った印象についてモリゾウ選手は「前よりも剛性があがったおかげで速くなった気はする。ただどこかが強くなるとどこかが弱くなるのでそこをカイゼンしていくのが大切」という風に語ってくれました。

※ ※ ※

 今回の「SFA工法」と「SUB ASSY 化」は、GRヤリスだけでなく他の車種でも対応可能だといい、カスタマーモータースポーツの世界では大きな注目が集まりそうです。

 また前述の通り、量産車の溶接技術が向上する可能性もあるため「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」がさらに加速するかもしれません。

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