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“10月”から「車検」が通らなくなる可能性も!? 謎の“新制度”「OBD検査」って何? 車検代も上がっちゃう? 24年秋から施行へ

くるまのニュース 2024年10月1日 11時50分

2024年10月1日から、車検制度に新たな仕組みの「OBD検査」が加わることが決定しています。はたして車検代は高くなるのでしょうか。また車検が通りづらくなるなどの弊害はあるのでしょうか。

■そもそも「OBD」とは何ぞや!?

 2024年10月1日から、車検の「OBD検査」が始まります。SNSなどで「車検に通りづらくなる!」といった声がありますが、果たして本当なのでしょうか。
 
 国土交通省が所轄の独立行政法人で、OBD検査に深く関係する「自動車技術総合機構(略称:NALTEC/ナルテック)」などに話を聞いてみました。

 “OBD”とは、「On Board Diagnostic」の頭文字を取った略称で、On Boardは「車載」、Diagnosticは「診断」の意味があり、直訳すると「車載診断」となります。NALTECでは「車載式故障診断装置」と表記しています。

 OBDの歴史は古く、世界初導入は1968年のフォルクスワーゲンにさかのぼり、その後1980年代のアメリカ・カリフォルニア州で導入が始まりました。

 また国産車では、1970年代からチェックランプの点滅回数で故障箇所を読み取るOBDが採用されました。

 日本では、2010年以降の生産車にOBDの搭載が義務付けられました。この時の規格は「J-OBD I」と呼ばれる日本独自の規格で、主に排気ガス規制に合っているかを診断するものでした。

 現在の規格は「J-OBD II」と呼ばれる第2世代で、先代の規格より診断項目が増えて2008年10月以降の新型車(フルモデルチェンジ含む)から義務付けられています。

 現在のOBDの機能に話しを変えます。

 OBDでは、クルマに搭載されるほぼすべてのシステム、装置、機能の故障診断が可能になっています。

 近年採用が進む衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術からエアコン、基本的なものではエンジン回転数や水温、燃料消費率、EVではバッテリー状態などの情報収集、故障診断が可能となっています。

 一部のドラレコではOBDと連携して、さまざまな車両情報をドライバーに伝える機能を有したものがあります。

 OBDは診断機を接続するポートがあり、おおむねインパネ下に備え、パネルなどのパーツの脱着なしで接続できます。

■2024年10月から始まる新しい「OBD検査」とは

「OBD車検」と呼ばれていることもある“OBD検査”は、2024年10月からの車検で採用される新しい検査方法です。

 NALTECが開発した「特定DTC照会アプリ」で診断を行うものとなります。ちなみに“DTC”とは「故障コード」のことです。

「車載式故障診断装置」を介した検査は従来よりおこなわれていましたが、その対象が先進運転支援機能まで広がります[画像はイメージです]

 OBD検査が始まる背景について国土交通省は、次に様に説明しています。

「近年、自動ブレーキなど自動運転技術の進化・普及が急速に進展しているが、故障した場合には、誤作動による重大事故等につながるおそれがあることから、自動車の検査等を通じた機能確認が必要。

 現在の自動車の検査(車検)は、外観や測定器を使用した機能確認により行われているが、自動運転技術等に用いられる電子装置の機能確認には対応していない」(原文ママ)

 すなわち、OBD検査とは先進安全装置や運転支援機能が正常かどうかを確認する検査と理解すれば良いでしょう。

 実際の車検では、保安基準不適合となるDTCを「特定DTC」としてデータをサーバーに置き、車検時にはOBDからのDTCをサーバーに送信して照合します。

 特定DTC照会アプリは無償で配布されますが、使用するには事業者登録が必要ですので、一般の人が使うことはできません。

 OBD検査の対象車は、国産車の場合で2021年10月1日以降、輸入車は2022年10月1日以降の新型車(フルモデルチェンジを含む)となりますが、例外があります。対象車かどうかは車検証の備考欄で確認します。

 またNALTECのウェブサイトでは、検査対象車の一覧表が公表されていますので、愛車が対象かどうかを確認することができます。

 2024年9月末時点でこれを見ると、対象車はまだ思いのほか少なく感じます。

■「OBD検査」導入で車検は通りにくくなる? 費用も高くなる!?

 それでは、「OBD検査で車検に通りづらくなる」のでしょうか。

 首都圏で働く自動車整備士のAさんに尋ねてみたところ、次のように話します。

検査項目が増えること自体はユーザーにも大きなメリットがありますが、新たな修理箇所の発生により費用負担が増す可能性も[画像はイメージです]

「先進安全技術系の機能、システムは、通常の運転では気が付かない故障がOBDではわかることがあります。

 またその故障はただちに影響することは少なく、多くの場合差し当たって通常の走行には差し支えないため、今まで修理を見送ったユーザーが少なくありません。

 しかし今後は診断された“故障”が特定DTCに該当すれば、修理しないと車検に通らないことになるのです」

 さらにAさんは、次のように警告します。

「先進安全技術系の故障でパーツ交換となると、修理代が高くつくことが多いでしょう」

 そこで気になるのは“実際の車検費用が高くなるか”どうかについてです。

 あたらしい制度のOBD検査ですが、実はプレテストとしてすでに2021年11月から始まっています。

 OBD検査に係る手数料は「技術情報管理手数料」400円で、プレテストも2024年10月からのOBD検査でも金額は同じです。

 ただし新車ディーラーや自動車整備工場では、事前の「OBD診断料」として作業工賃が発生することがあり、その費用にバラつきがありますが、2000円から5000円が相場となっているようです。

 もちろん部品交換などの修理が発生した場合は別途費用が発生するのはいうまでもありません。

 OBD検査の“対象車”に乗っている人は、ちょっと戦々恐々なお話ですが、事故防止のためなら背に腹はかえられません。

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