自転車レーンの増加により、自転車と歩行者との分離には成功しましたが、逆にクルマとの距離が近くなり過ぎて、危ないシーンが増えています。特に危険なシチュエーションとはどういうものなのでしょうか。
■車道を“自由に”走る自転車への対処法は?
これまでは曖昧だった自転車の原則である「車道の左側を走る」をさらに促進させるべく、車道の左側に「自転車レーン」が設置されるケースが増えています。
これによって歩道で混在していた歩行者との分離に一部成功し、実際に自転車と歩行者の事故は減少傾向にあるようですが、車道の一部が自転車レーンになったことでクルマとの距離が近づき、かなり危険なシーンを目にすることが増えています。
教習所の元指導員のI氏に聞いてみました。
「自転車による『ヒヤリハット』な状況を生む大きな原因は、自転車に乗る人が交通ルールを知らなさすぎることだと言われています。
基本的に、クルマを運転するドライバーは交通ルールを学び、一定レベルの技術と知識を身につけた証として免許が発行されます。
しかし自転車には免許がなく、購入してすぐに乗れる手軽さと扱いやすさがある反面、交通ルールを学ばずに都合のいい走り方をしてしまう傾向があります。
さらに歩道と車道を行ったり来たり、時には平気で逆走するなど傍若無人な走り方をする人も多く、これが危険な状況を起こす要因となっています」
なかでもかなり危険だとされるのが、日本の交通ルールを知らない外国人やママチャリに乗る女性。
なかでも子育て世代では、小回りが利くママチャリでの移動が欠かせないといえ、前後に小さい子どもを乗せ、荷物を大量に積んだ状態で走る女性が多いのも事実です。
その無謀な運転ぶりから、I氏も教習生へ「一般道で特に気をつける自転車」として説明してきたといいます。
では、クルマ対自転車で特に危険なのはどのようなシチュエーションなのでしょうか。
「日本独自の道路事情が影響している部分もあるのですが、道幅が狭い道路でのすれ違いや追い抜きには注意が必要です。
また放置される路上駐車は減少しましたが、荷卸しなどで一時的に路上に停車している商用車は逆に増えています。
そんな車両を自転車が追い越すために車道にはみ出てくるシーンをよく見かけます。
なかには車道中央付近まで出てくる自転車もあり、さらに追い抜くためには大きくセンターラインを跨がなければいけない状況になることもあります」(教習所の元指導員 I氏)
I氏いわく、このようなシチュエーションでは十分な安全が取れそうになるまで追い越しは控えたほうがいいといいます。
「また交差点で左折時の巻き込みにも注意が必要です。
クルマが歩行者を気遣っている隙に通り抜けようとする自転車も多いので、サイドミラーや時には目視で自転車が後方から来ないことを確認しましょう」(教習所の元指導員 I氏)
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最近は自転車の過失も認められるようにはなりましたが、それでも事故が起きた場合はクルマの過失を大きく見積もるケースが多いようです。
本来であれば自転車を運転する人にも交通ルールを遵守させるべきですが、残念ながら現段階では難しいと言わざるを得ません。
車道で自転車と並走する状況では、クルマ側が細心の注意を払って自己防衛策するしかなさそうです。