千葉県北部で新たな高規格道路「千葉北西連絡道路」計画検討が進行中です。実現すればどう便利になるのでしょうか。また話はどこまで進んでいるのでしょうか。
■3回目の千葉北西連絡道路検討会が開催
千葉県北部で新たな高規格道路「千葉北西連絡道路」計画検討が進行中です。
実現すればどう便利になるのでしょうか。また話はどこまで進んでいるのでしょうか。
千葉北西連絡道路は、野田市から柏市、我孫子市を経由して、印西市までをむすぶ計画です。
ここには国道16号が通っていますが、4車線ながらほぼ全線にわたって渋滞ポイントとなっており、幹線ネットワークとしては破滅的な状況。このエリアは外環道とも圏央道とも離れており、実質的に国道16号しか主要道路が無いのが実情で、交通集中に悩みながら国道16号を使わざるを得ないという課題があります。
そこで、根本的に当エリアをバイパスするのが千葉北西連絡道路です。
折しも、外環道市川からまっすぐ東進して成田空港へ直結する高規格道路「北千葉道路」の計画・建設が進行中です。千葉北西連絡道路はここへ直結し、北へ細く長く突き出た千葉県の「高速空白地帯」を救済する役割を果たします。
なお、現在検討が進んでいるのは北千葉道路までですが、将来構想としてはさらに南へ延伸し、佐倉市方面で東関東道へ直結することになっています。
もともと大局的には、「外環道と圏央道のあいだ」を救済する第三の環状幹線道路「核都市広域幹線道路」の一部に位置付けられ、さいたま市でも首都高「埼玉新都心線」を延伸して東北道へつなげる計画が進行中です。実現すれば「信号ゼロ移動」が可能になるほか、全般的にボトルネックとなっている各環状軸の一般道路について、混雑緩和が期待されます。
■ところで話はどこまで進んでいる?
気になる進捗状況ですが、いまは事業化への最初のプロセス「計画段階評価」の準備段階です。
計画段階評価は「概略ルート」を決定するプロセスで、そのあと都市計画決定と環境アセスメントの手続きが完了すれば、いよいよ事業化待ちとなります。
計画段階評価では一般的に2回の地元ヒアリングがあり、1回目に「エリアの課題」が聴取・分析され、およそ3つのルート案に絞り込みます。そして2回目でそこから最終の概略ルートが決定するわけです。
最初が肝心で、まず「どうやってエリアの課題を分析するか」「ここに道路を作る意義はどう整理できるのか」などをきっちり詰めます。それがことし2月に開催された「千葉北西連絡道路地元検討会(第1回)」で、以下のようにまとめられています。
「国道16号の柏IC~呼塚交差点付近では交通容量を超過しており、日中を通して旅行速度が20km/h 以下の区間が多く、柏ICや呼塚交差点を中心に県平均の3倍以上の渋滞損失時間が発生。災害時において代替路不足による安全性も懸念されている」
「国道16号沿線は大型商業施設や工業団地が立地しており、今後も物流施設の新規立地が見込まれているほか、交通アクセスの利便性向上や周辺施設の拡充などによる人口の増加など、更なる交通需要が見込まれる」
「野田市の江川地区のほか、手賀沼・古利根沼等の豊かな自然環境が形成されており、これらの自然環境の保全に配慮する必要がある」
そして、具体的なアンケート案もまとまりました。つまり、あとは「何月何日からアンケートを始めます」というアナウンスがあるだけです。
2月の検討会からすでに8か月が経過しようとし、なかなか焦らせる状況となっているのは事実。ただし関東地方整備局の2024年度予定には「計画段階評価を進めるための調査」と明記されているため、時間の問題かもしれません。
もともと2006年から「千葉柏道路」としての検討が行われていましたが、完全に棚上げ状態になっていたこの道路。2020年から徐々に機運が高まり、いよいよ「事業化プロセス」のレールをひた走っている状況にまで達しました。引き続き動向に注目です。