かつて東京モーターショーには、ダイハツから斬新な軽トラックが出展されていました。一体どのようなモデルだったのでしょうか。
■ダイハツの斬新な「軽トラック」!
世界各地で開催される「モーターショー」では、誰もが驚くような遊び心のあるコンセプトカーが数多く展示されています。
2013年の「第43回東京モーターショー」にダイハツから出展された軽トラックのコンセプトモデルも、斬新なデザインが記憶に残る一台でした。
そのクルマの名は「FC凸DECK」で、これは“エフシー・デコ・デッキ”と読みます(以下、デコデッキ)。
同車は、タイヤが付いた板状のベース部分に、運転席を配した「箱」をドンッと乗せただけという、極めて個性的かつ斬新なフォルムが特徴。
さらに箱型をした運転席の内部は、クラブに設置されている“DJブース”のような見た目となっています。
車内は左右に運転席と助手席を設置した2人乗りで、インテリアは黒を基調としつつもステアリングの一部やフロントパネルにはホワイトを採用するなど、メリハリのあるカラーリングがユニークです。
また、フロントパネルの中央部分には、鮮やかに光る円形のセンターメーターが設置されていました。
このように、非常にユニークな見た目に注目の集まるデコデッキですが、これは単なる「遊び心満載のクルマ」ではなく、当時の最先端技術を用いた実験車両でもありました。
実はデコデッキには、ダイハツが独自に開発した「貴金属フリー液体燃料電池」が搭載されていたのです。
希少な金属を使う「液体燃料電池」は生産にコストがかかり、またサイズが大きくなることが従来大きなネックでした。
そこでダイハツでは、高価な白金を使わない貴金属フリー液体燃料電池を研究して開発。
液体燃料電池の低コスト化と省スペース化の実験車両として、デコデッキを生み出したのです。
実際に、デコデッキはただのモックアップではなく、床下には開発中だった貴金属フリー液体燃料電池が収められていました。
この貴金属フリー液体燃料電池は出力が0.5kWとなっており、同会場では出力が2kWの発電機「FC-Dock 20C」も展示。
このように、ユニークな見た目に注目が集まったデコデッキは、未来の自動車開発に向けた重要な研究車両でもあったのです。