東京都は、渋滞する国道をバイパスする「多摩川南岸道路」の整備を進めています。いったいどのようなルートで、工事はどこまで進んでいるのでしょうか。
■「多摩川南岸道路」残り1工区
東京都は、渋滞する国道をバイパスする「多摩川南岸道路」の整備を進めています。
いったいどのようなルートで、工事はどこまで進んでいるのでしょうか。
多摩川南岸道路は、奥多摩町の青梅街道(国道411号)をバイパスする約7kmの道路です。
このあたりは多摩川の深い谷を走る区間で、青梅~奥多摩の貴重なルートとなっています。狭い国道411号が事故や災害で寸断されると、緊急輸送ルートが皆無になってしまうリスクがあります。
また、奥多摩湖などのレジャー需要で、観光シーズンの国道411号は混みあいます。昔ながらの青梅街道として街道沿いの集落をつらぬくことから、安全のため生活空間と観光車両を分離する必要にも迫られていました。
そこで、多摩川北岸をひた走る国道411号に対し、対岸にもう一つルートを整備するのが多摩川南岸道路です。
昔ながらの青梅街道に対し、多摩川南岸道路はほとんどがトンネルで、山岳区間を最短距離で一気に抜けていきます。歩行者や生活交通への不測対応にピリピリすることなく、スムーズに青梅~奥多摩を移動することができるようになります。
JR古里駅南側から鳩ノ巣駅・白丸駅・奥多摩駅をスルーして、さらに奥までワープする多摩川南岸道路の7kmのうち、すでに5.1kmが開通済み。今は、古里駅周辺の約2kmを残すのみです。
SNSなどでは「超優秀なショートカットトンネル」「鳩ノ巣渓谷の裏側をトンネルでぶち抜く豪快さよ」「まさに快走路」など、その威力をすでに体感している声も見られます。
さて、最後の未開通部「丹三郎工区」ですが、2023年10月に用地説明会が開催され、いよいよ用地取得の段階に入っています。
丹三郎工区のほとんどを占めるのが、長さ1280mのトンネル(名称未定)です。西側では2本の橋梁が建設予定で、途中で寸庭集落に連絡ます。この集落は青梅街道へ行くのにいったん河岸斜面を下って「寸庭橋」を渡る必要がありましたが、すぐ南側でバイパスにアクセスできるようになります。
ここが完成すれば、いよいよ多摩川南岸道路は全通。東側は「吉野街道」と名づけられた都道45号が、多摩川南岸ルートを引き継ぎます。