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ホンダ「N-BOX」新たに“SUVバージョン”発売! スズキ・ダイハツ・三菱の軽SUVワゴンとの違いとは? どんな人に適してる?

くるまのニュース 2024年10月12日 14時10分

軽スーパーハイトワゴンが人気となるなか、各車がSUVに仕立てたモデルを次々に投入しています。ホンダ、スズキ、ダイハツ、三菱がラインナップする軽SUVワゴンは、それぞれどのような人に適しているのでしょうか。

■SUVの軽スーパーハイトワゴンが激戦に!

 全高が1700mmを超えるボディにスライドドアを組み合わせた軽自動車のスーパーハイトワゴン(以下、軽スーパーハイトワゴン)は、今の国内新車市場で最も人気の高いカテゴリーです。
 
 特にホンダ「N-BOX」は国内年間販売台数ナンバー1モデルの常連となるほど支持されています。

 この軽スーパーハイトワゴンは販売台数が多いこともあり、派生モデルやグレードも豊富です。

 特に近年は新車市場でもSUVの人気が高く、軽スーパーハイトワゴンにもSUV風のタイプが増えました。

 このカテゴリーの先駆者であるスズキ「スペーシアギア」をはじめ、ダイハツ「タントファンクロス」、三菱「デリカミニ」といったモデルが存在するなか、ホンダは新型「N-BOXジョイ」を新たに追加し、2024年9月27日に発売しました。

 また、スペーシアギアも新型モデルが同月20日に発売されるなど、各車が出そろった状況となっています。

 では、この4つのモデルには、それぞれどのような特徴があるのでしょうか。

 4モデルとも軽自動車ですから、全長3395mm×全幅1475mmというサイズは共通、全高は全車が1800mm前後です。

 外観は、スペーシアギア、デリカミニ、N-BOXジョイは丸形ヘッドランプ、デリカミニは半円のヘッドランプを装着。エアロパーツを装着したスポーティな「カスタム」グレードとは異なる、アウトドアで様になるアクティブな雰囲気を表現しています。

 インテリアはどうでしょうか。前席の座り心地は、各車ともに上質です。N-BOXジョイは座り心地が少し硬いですが、腰から大腿部をしっかりと支えます。

 スペーシアギアとタントファンクロスも、適度な柔軟性が伴います。デリカミニはもう少し、体をしっかりと支えて欲しいですが、座り心地は柔軟で馴染みやすいです。

 後席は、タントファンクロスが座面長(座面の奥行寸法)も適度で座りやすいです。N-BOXジョイとスペーシアギアは、座面長が短めで、大腿部に違和感が生じる場合もあります。

 スペーシアギアは、後席の座面の前側に「マルチユースフラップ」を装着しました。

 引き出すとオットマンのようにふくらはぎを支え、マルチユースフラップを反転させると、座面の上側に張り出し、座面上に置いた荷物が床に落ちにくいような工夫が施されています。

■スライドドアの使い勝手はタントファンクロスがいい!

 4モデルとも全高が1800mm前後のスーパーハイトワゴンで、後席側のドアはスライド式で、乗り降りがしやすいです。

 そんななか、スライドドアとしてはタントファンクロスが最も優れているといえるでしょう。

 タントファンクロスの特徴は、左側のピラー(柱)をスライドドアに内蔵した「ミラクルオープンドア」を備えることです。

 タントシリーズに採用されているものですが、助手席ドアとスライドドアをどちらも開けると、開口幅が1490mmとワイドに広がります。

タントファンクロスの「ミラクルオープンドア」

 子育て世代のユーザーなら、タントファンクロスの助手席を予め前側に寄せて後席の足元空間を広げておくと、ベビーカーを抱えた状態で乗車できます。この後、車内で子供をチャイルドシートに座らせ、降車せずに運転席へ移動できます。

 また、後席に高齢者が座る時も、開口部がワイドなので楽に乗り降りすることが可能です。

 そのほかの車種は、一般的な固定式ピラーを使ったスライドドアを装着しています。開口幅はデリカミニが650mm、N-BOXジョイが640mm、スペーシアギアが600mmです。

 どのモデルも、後席を前側にスライドさせたり、後席を前に倒して格納すると、広い荷室に変更できます。そのうえで各車を比べると、後席のアレンジに違いがあります。

 N-BOXジョイ、スペーシアギア、デリカミニは、後席の背もたれを前側に倒すと座面も連動して下がり、広い荷室に変更できますが、タントファンクロスは違い、後席の背もたれは、単純に前側へ倒れるだけ。

 この状態で荷室後端のデッキボードを高い位置にセットすると、平らな荷室になりますが、荷室高(荷室の床から天井までの高さ)は120mmほど不足します。荷室の使い勝手や容量を重視するなら、後席を格納した時の広さを確認しましょう。

 荷室で最も注目される車種はN-BOXジョイです。後席の背もたれを倒すと座面も連動して下がり、広い荷室が出現。

 この機能はN-BOXの標準ボディやカスタムと共通ですが、N-BOXジョイならではのポイントもあります。それは後席を格納して荷物を積むのではなく、小部屋として使った時の居心地の良さを追求したことです。

 そこで荷室もシートと同じチェック柄としました。一般的なモノトーンは用意されていません。

 そして荷室の後部を標準ボディやカスタムに比べて80mm持ち上げ、荷室床面を平らに近づけました。床下の一部にはプレートも入れて、座った時に硬さを感じないよう配慮されています。荷室の床は耐久性も高く、自転車なども積めますが、最も優先したのは小部屋としての居住性です。

 スペーシアギアとデリカミニの荷室は、汚れを落としやすいブラックの樹脂で造り込まれています。一般的なSUVタイプの荷室です。

 路面からリアゲート開口下端部までの高さは、スペーシアギアが最も低く510mm。N-BOXジョイは、標準装着ボディやカスタムに比べて床を80mm持ち上げながら550mmに抑えました。

 タントファンクロスは580mmで、デリカミニは2WDが590mm、4WDは620mmと高いです。

 スペーシアギアは荷室の床が低いので、自転車を積む時に前輪を大きく持ち上げる必要がなく、積載性に優れています。

 収納設備はスペーシアギアが豊富です。助手席の前側には、上からコンビニ弁当も置ける大型トレイ、ボックスティッシュも収まる引き出し式の収納設備とカップホルダー、最下段にはグローブボックスも備わります。助手席の下にも収納設備を設置しました。

 N-BOXジョイは、荷室の後端を80mm持ち上げたので、その下側の空間をアンダーボックスとして活用しています。デリカミニやタントファンクロスも収納設備は十分備えています。

■どのモデルがどんなユーザーに適してる?

 動力性能では、各車種ともにターボ車も設定し、性能に余裕がありますが、自然吸気エンジンには差があります。

 N-BOXジョイは実用回転域の駆動力が高く扱いやすく、デリカミニとタントファンクロスの動力性能は平均的です。スペーシアギアは実用回転域で少しパワー不足が感じられることから、ターボを選んだほうが良いかもしれません。

 価格について、自然吸気エンジン・2WD同士で比べてみましょう。

軽SUVワゴンの元祖「スペーシアギア」

 N-BOXジョイは184万4700円です。これにメーカーオプションとなる右側スライドドアの電動機能やシートバックテーブルを加えて、他車と条件を合わせると191万700円です。アルミホイールやルーフレールなどは装着されず、チェック柄の内装にコストを費やしました。

 スペーシアギア「ハイブリッドXZ」は195万2500円です。N-BOXジョイよりも高いですが、ルーフレール、アルミホイール、後席マルチユースフラップ、後席までエアコンの冷気を送るスリムサーキュレーターなどが標準装着され、装備と価格のバランスでは買い得です。

 デリカミニは、ほかの車種と同様に装備を充実させた「Gプレミアム」が201万8500円で、スペーシアギアより少し高いです。

 タントファンクロスは168万8500円と安く、ほかの車種が装着する運転支援機能を含んだ「スマートクルーズパック」をオプション装着しても174万3500円です。

 左側のスライドドアにピラーを内蔵した乗降性の優れたボディを考慮すると、タントファンクロスは、スペーシアギアと同等か、それ以上に買い得です。

※ ※ ※

 最後に、どのモデルがどんなユーザーに適しているのでしょうか。

 N-BOXジョイは、買い物の途中で公園の駐車場に立ち寄り、テイクアウトした食事を楽しむようなピクニック的な使い方に向いています。

 スペーシアギアは、豊富な収納設備やマルチユースフラップのようなユニークな装備が欲しいユーザーにピッタリです。

 デリカミニはSUV感覚が濃厚なスーパーハイトワゴンを求めるユーザーに相応しいでしょう。特に4WDは最低地上高にも余裕があり、悪路のデコボコを乗り越えやすく乗り心地も柔軟です。

 タントファンクロスは、ワイドに開く左側のスライドドアが特徴ですから、乗降性を重視するユーザーにとって魅力的です。

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