2024年8月、日産の海外向け高級車チャンネル「インフィニティ」の2025年モデルにおいて、「Q50」(日本名:日産「スカイライン」)がラインアップから外されていることが判明しました。この先スカイラインはどうなってしまうのでしょうか。
■「スカイライン」のスピリットも「ヴィジョンQe」に受け継がれる!?
2024年8月20日、日産の北米向け高級車チャンネルの「インフィニティ」が、2025年のモデルラインナップを発表しましたが、そこに「Q50」(日本名:日産「スカイライン」)の名がありませんでした。
つまり2024年モデルをもって、Q50は販売終了となることが示唆されたのです。
Q50と、その2ドアクーペ版「Q60」(日本未発売)がラインナップにないことに関して、インフィニティは次のように述べています。
「QX80を皮切りに4つの新商品で車種ラインナップを一新するというコミットメントに基づき、Q50は24年モデル以降、アメリカ、およびカナダでは販売されません。
Q50のスピリットは、昨年10月にデビューした『ヴィジョンQeコンセプト』が予告する未来のスポーツセダンEVにも確実に受け継がれていきます」
ヴィジョンQeコンセプト(以下、ヴィジョンQe)とは、2023年10月24日に発表されたバッテリーEVのコンセプトカーです。
背が低く、なだらかなルーフラインのクーペ風セダンのデザインをしたヴィジョンQeは、その姿から、「次期型スカイラインではないか」とSNSなどで話題となりました。
この発表で、ヴィジョンQeがQ50の後継車になることはほぼ決定的となりました。ただし次期型が“Q50”のモデル名を引き継ぐのかは不明です。
ヴィジョンQeについては、実物が横浜市にある日産グローバル本社ギャラリーに展示されていたことがあり、筆者(自動車ジャーナリスト 吉川 賢一)も見に行きました。
実物のヴィジョンQeは、フーガとスカイラインのちょうど中間クラスの大きさで、ロー&ワイドかつ車両後方に向けて流れるようなフォルムをしており、Q50のデザインよりも遥かにスタイリッシュでした。
立体的なマシンドフィニッシュの大径ロードホイールのほか、ホイールに描かれた水引デザインがタイヤ側にまで食い込んでいるように見えるのも印象的です。
■「ヴィジョンQe」市販版の兄弟車が次期「スカイライン」になる!?
いまはまだコンセプトカーの段階ですが、インフィニティが「Q50のスピリットはヴィジョンQeに引き継がれる」と示唆したことから、ひとまず、スカイラインの歴史は繋がったと考えられます。
筆者を含めてほっとした日産ファンも多いでしょう。
ヴィジョンQeには、歴代スカイラインが受け継いできた丸目4灯のテールランプデザインなど、スカイラインとしてのシンボルが見当たらない点は気がかりです。
ただ、現行型「V37」スカイラインとインフィニティのQ50においても、テールランプのデザインは異なります。
ヴィジョンQeがベースとなる次期型モデルでも、国内向けのスカイラインにはシンボルが取り入れられていくことでしょう。
事実、日産は2024年3月25日に新たな経営計画「The Arc」を発表し、今後3年間で投入する予定の新型車のシルエットを動画で公開しました。
そのなかには、他のモデルとは一線を画す「丸目4灯」のテールランプのクルマの姿も含まれており、これがヴィジョンQeをベースにした“新型”スカイラインではないかと考えられます。
なおヴィジョンQeは前述の通りEVのコンセプトカーだとしていますが、実際の市販モデルがどうなるかはまだ明らかにされていません。
一足飛びに次期モデルがEV専用車になるとは考えにくく、エンジンと組み合わせたハイブリッドやプラグインハイブリッドの可能性もあり、このあたりの動向も気になるところです。
※ ※ ※
かつて「スカイラインがモデル消滅か」と一部の新聞紙上で話題になった際、日産の星野 朝子 副社長が、「日産自動車はスカイラインを諦めません」とした言葉が、いよいよ実現されようとしています。
スカイラインは1957年から65年以上の歴史を重ねた、日産にとっても重要なブランドです。
また時代の先を行く超最先端技術を搭載した「技術のフラッグシップカー」としての位置付けもされていて、最近ではハンズオフ可能な先進運転支援機能「プロパイロット2.0」を初搭載しています。
最近、スカイラインをベースにした試験車両がハンズフリーで危険物をよけている日産のテレビCMが放映されていますが、おそらく次期型では、そのレベルの高度な自動運転技術も視野に入れているのでしょう。
いずれにせよ、次期型スカイラインの登場が非常に楽しみです。