トヨタと超高級車ブランドの協力によって誕生したユニークな「高級コンパクトカー」が、かつて日本でも販売されていました。
■日本製? 超高級な「コンパクトカー」とは!
超高級車ブランドとして知られるアストンマーティンですが、過去にはトヨタとの協力によってコンパクトカーを製造し、日本でも販売していました。
一体どのようなクルマだったのでしょうか。
そのクルマの名は「シグネット」。2011年に欧州市場でデビューした3ドアの高級マイクロクーペです。
ベースは、トヨタが2008年に発売したマイクロクーペの「iQ」で、トヨタがアストンマーティンにiQを供給することで誕生しました。
そのため、シグネットのボディサイズは全長3078mm×全幅1680mm×全高1500mmと、iQと同じ。
搭載するパワーユニットもトヨタ製の1.3リッター直列4気筒エンジンで、トランスミッションもiQと同じCVTまたは6速MTが採用されています。
ただし、エクステリアとインテリアはアストンマーティン独自の仕様へと変更されており、ベースのiQとは比較にならないほどスタイリッシュかつ高級感あふれる仕様に変貌しました。
例えば、エンジンフードにはエアインテークが、フロントフェンダーにも大きなエアアウトレットが設けられ、左右ドアに至るまで外装は全てシグネット専用のものへと変更。
室内も本革をシートから内装まで用いるなど、超高級ブランドの名に恥じない仕上がりになっています。
また、シグネットは“匠のハンドクラフト”にもこだわったクルマです。
製造は全てイギリスにあるアストンマーティンの工場で行われており、日本で製造された完成車のiQを全て分解してから、熟練職人の手で一台一台「アストンマーティン仕様」に組み直すという徹底ぶりでした。
そのため、シグネットのイギリスでの販売価格は約400万円と非常に高額な設定に。これはベースのiQと比較すると、2倍以上という価格でした。
こうして高級マイクロクーペとなったシグネットは、実は2011年10月に日本でも台数限定という形で販売されました。
日本発売モデルは「ローンチエディション」という名称の特別仕様で、外装をスノーホワイトに塗装した「ホワイト」と、マジックブラックという専用カラーで塗装した「ブラック」の2種類を設定。
車両価格は475万円からスタートとイギリス以上の高額でしたが、日本のほかに香港でも台数50台限定で展開されるなど、グローバルに展開されました。
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このようにトヨタとの提携によって誕生した、高級マイクロクーペのシグネット。
エレガントなモデルとして多くの注目を集めましたが、イギリスにおける2013年までの販売台数は約150台と少ないものでした。
それゆえに、現在はレアなクルマとして1000万円近い中古価格が付いていることも珍しくありません。