自工会は2024年10月2日、令和7年度税制改正・予算要望書において、自動車税制の抜本的な見直しに関する改革案を明らかにしました。
■旧態依然とした「自動車税制」 大幅改革へ
自工会(日本自動車工業会)は2024年10月2日、令和7年度税制改正・予算要望書において、自動車税制の見直しに関する改革案を明らかにしました。
自動車税の抜本的な改革を求める姿勢です。
自工会によると、世界的に自動車産業が100年に一度の変革期を迎えたなか、新興国の台頭による競争の激化や投資の国際的な競争激化、日本市場の規模・地位の低下などにより、日本の自動車産業は存続危機に直面しているといいます。
いっぽう、JAF(日本自動車連盟)が毎年実施している自動車税制に関するアンケートでは、98%のユーザーが「クルマの税金に負担を感じる」と回答しています。
実際、クルマに係る税金は9種類があり、合計9兆円が納税されており。すべての租税収入の8%をクルマユーザーが負担している現状があるといいます。
さらに、揮発油税、地方揮発油税、重量税、軽油引取税などは、かつての「道路特定財源制度」によるものですが、2009年に廃止されて課税根拠を喪失しているのにもかかわらず、それが「当分の間税率」として残っていることについても問題だと指摘します。
日本においては、現在もなお自動車産業が国の基幹産業となっていることから、引き続き日本経済に貢献するため、従来の枠組みを超えたモビリティ産業としての変革や、カーボンニュートラル実現に向けたマルチパスな取り組みが急務としています。
以上の背景をふまえ、現行の自動車税制から脱却した「抜本的な改革」として、クルマ購入時の負担を下げて市場を活性化させ、電動車への買い替え促進による保有ベースのCO2削減や、新たなモビリティ社会を見据えた課税のあり方が必要との見方を示しました。
■日本の「自動車危機」を救う!? 「新しい自動車税」の中身とは
具体的には、クルマ本体に課せられる車体課税については、取得(購入)時に消費税への1本化、保有時には重量ベースの課税の統一化と「環境性能」に応じた負担増減制度というように、クルマ保有者だけではない公平な課税のあり方を検討するとしています。
というのも車体課税の現状は、取得時にクルマ本体の消費税に環境性能割が加算される「二重課税」の状態で、そのうえに保有時には時代に則さない排気量ベースの自動車税、重量に応じた重量税が課せられています。
自工会では取得時の環境性能割の廃止に加え、自動車税と重量税の統合を図り、ガソリン・BEV(バッテリーEV)・FCEV(燃料電池車)共通の課税指標を基本とした「シンプルな課税」を目指す方針です。
これにクルマの環境性能によって負担が増減する仕組みと、当分の間税率の廃止などを合わせ、納得がいき、わかりやすく、かつ安定した財源となるようにする考えです。
公平な課税のあり方としては、クルマだけにとらわれず、新たなモビリティとして、クルマを保有するユーザー以外からの利用にも応じた課税とし、公平な税制を目指すとしています。
こうしたメインの税制改革に加え、原付の法改正に伴う自動車税の見直し、ユニバーサルデザインタクシーやバスなどの特例措置などといった租税特別措置の延長、水素充填インフラの設置の特例措置といった自動車関連税制の改革なども求めていく方針です。
今後、自工会は政府の税制調査会などと議論を進めていき、12月には抜本的改革の大枠を決定したいと明かし、2025年12月には具体的な税体系、制度設計の結論を出したい考えです。