生産能力を大幅に上回る人気で受注停止となっているトヨタ「ランドクルーザー(300系)」。中古車価格も高騰していますが、先代200系はどうなっているのでしょうか。中古車取引の事情について調査しました。
■あえての先代「ランクル」にいま注目したい理由とは
2021年8月に登場したトヨタの「ランドクルーザー300」(以下300系ランクル)は、生産能力を大幅に上回る人気のため、2024年9月現在も受注停止になっています。
少しでも早く欲しいと考えるユーザーも多く、300系ランクルの中古車相場は高騰したままですが、そこで気になるのは先代の「ランドクルーザー200」(以下200系ランクル)についてです。
300系ランクルの中古車価格を大手中古車検索サイトで調べてみると、人気の「ZX」グレードはどれも新車価格を大幅に超える1000万円台に届く個体ばかりでした。
では、先代200系ランクルの中古車価格はいまどうなっているのでしょう。
中古車の輸出事情に詳しい自動車買取専門店の担当者に話を聞いてきました。
先代モデルである200系ランクルは、2007年9月から2021年8月まで販売されていたモデルです。
2015年にはビッグマイナーチェンジが行われ、エクステリアデザインやナビゲーションシステム、スマートキーなどの装備が全面的に見直されました。
中古車サイトで200系ランクルの価格を調べると、2007年から2014年式は230万円~608万円と比較的手に入れやすい価格帯です。
しかし2015年から2021年式は448~1100万円と格段に高く、やはりビッグマイチェンの前後では、価格に大きな差が生じています。
ビッグマイチェンによって装備が充実したということももちろんありますが、後期型のなかでも、いまもっとも相場が高くなっているのが2019年式の個体だといいます。
中古車輸出事情に詳しい自動車買取専門店の担当者は次のように話します。
「2019年式の200系ランクルは、1000万円を超える個体も珍しくありません。
その理由は、ランクルが輸出されていく国の輸入規制にあります」
■個人ユーザーは前期型「ランクル200」が狙い目かも!?
日本で下取りに出されたランクルは、もちろん国内で中古車として販売されるものもあります。
しかしその多くが、業者間で取り引きがおこなわれる中古車オークションを経て、海外へと輸出されていきます。
なかでも多く輸出されていくのが、中東の国、パキスタンです。
砂漠地帯があるパキスタンでは、走破性が求められるクロカンSUVが人気で、なかでもランクルは、現地の富豪から長年支持を集めているといいます。
「パキスタンには、中古車輸入に関して“製造年から5年落ちまで”というルールがあります。
これを超える年式の個体は、パキスタンに輸出することはできません。
また規制年式に近いほど関税やその他税金が下がる傾向にあります。
2024年現在、2019年式の200系ランクルがいまもっとも需要がありオークションで高額落札されやすいため、相場が高騰しているのです」(前出の担当者)
ただランクルは、5年落ちを超えた個体でもケニアやタイ、タンザニアなど輸出可能なエリアは複数あるため、一般的なクルマよりも最低価格は高めだといいます。
「もちろん300系ランクルもパキスタンへ輸出されていますが、納車されたばかりの300系ランクルを手放すユーザーがまだ少ないため、中古車市場にはまだ300系ランクルがそれほど出回っていません。
なかには300系ランクルが納車されたあとすぐに業者向けオークションへ出品し、転売による利益を狙う業者もいますが、それはいわば“禁じ手”です。
購入時、トヨタディーラーと交わす“一定期間は売却禁止”という約束もありますから、これを繰り返すことはできません。
そのため業者にとっていまはまだ、200系ランクルのほうが狙いたいモデルなのです」(担当者)
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200系ランクルをお手頃に入手したいというのならば、デザインや装備面はやや古いものの、落ち着いた相場で販売される2014年以前の前期型を狙うのがよい方法でしょう。
ずば抜けて高い耐久性を持つランクルだけに、15年落ち程度なら大きな心配もなさそうです。
200系ランクルで2014年式以前の中古車相場を見てみると、下は300万台から上は400万円台あたりで推移しています。
それよりもずいぶんと高い600万円弱のプライスを付けた個体は、エクステリアを現行の300系ランクルそっくりの顔面に変更された改装車でした。
一見「300系!?」と見間違えそうになるほどのクオリティですので、300系ランクルの迫力あるエクステリアに憧れる人は、200系ランクルを業者に持ち込んで顔面スワップしてもらうという選択もありかもしれません。