これまで世界中のモーターショーで、日本の自動車メーカーは数々のクルマを展示してきました。なかでもダイハツがGAIKINDOインドネシア国際オートショー2023で展示していた謎の小型ミニバンが注目を集めていました。一体どのようなクルマなのでしょうか。
2024年10月15日から18日まで、幕張メッセ(千葉市美浜区)にて「JAPAN MOBILITY SHOW Biz week 2024」が開催されますが、世界中でも様々な形でモーターショーが開催されています。
日本の自動車メーカーも各モーターショーに出展して、最新モデルやコンセプトカーを披露してきましたが、なかでもかつてダイハツが「GAIKINDOインドネシア国際オートショー2023」で公開した、謎の小型バンが注目を集めていました。
一体どのようなクルマなのでしょうか。
このクルマは、ダイハツのインドネシア法人であるADM(Astra Daihatsu Motor)の研究開発部門が設計・製造した電動化された小型商用車です。
ベースとなっているのは、インドネシア市場で人気のある「グランマックス バン」で、そのプラットフォームを電動化し、より環境に優しい形で再構築されています。
VIZION-Fという名前は、「Vision(ビジョン)」「Zero Emission(ゼロエミッション)」「Futuristic(未来的)」「Functional(機能的)」「Fun & Friendly(楽しく、親しみやすい)」という5つのキーワードの頭文字を組み合わせたものです。
このネーミングからも分かるように、VIZION-Fは単なる商用車としての枠を超え、ビジネス、プライベート、さらには地域社会での様々な場面で活躍することを目指しています。
VIZION-F最大の特徴は、その用途の多様性です。
例えば、緊急時の電力供給ユニットとして使えるほか、発電機を必要としない完全電動式のフードトラック、さらにはキャンピングカーとしても利用可能です。
また、公用車や地域イベントでの移動式電源としても活躍が期待されています。
電動モビリティならではの柔軟性と環境負荷の少なさを武器に、幅広いニーズに応えることが可能です。
エクステリアデザインも未来的で機能的な要素が融合しています。
ボディはシルバーとグレーを基調に、EVらしいエレクトリックイエローのアクセントが散りばめられています。
フロント部分には、横一直線のヘッドライトと、多数の小さな穴が開いたロアグリルが特徴的です。
このロアグリルにはデジタルディスプレイが組み込まれており、文字や情報を表示することができる「デジタルレイヤー」機能を備えています。
リアドアにも同様のディスプレイ機能が搭載され、情報発信や広告表示など、様々な用途に利用できる点もユニークです。
滑らかなデザインが全体に施され、特にクオーターウィンドウが塞がれたデザインやフラッシュ型のドアハンドルが、洗練されたモダンな印象を与えます。
また、ドアミラーは細くデザインされており、デジタルカメラ技術を採用。
この点は、従来のミラーよりも視認性を向上させると同時に、クルマ全体のエアロダイナミクスを向上させる役割も果たしています。
インテリアデザインに関しても、ベースモデルのグランマックス バンから大幅に変更されています。
ダッシュボードには8インチのデジタルメーターが中心に配置され、運転時の視認性を高めています。
さらに、中央には15.6インチのタッチスクリーンディスプレイが備わっており、これによって操作性とエンターテインメント機能が強化されています。
これらのデジタル技術は、最新のコネクテッドカーとしての役割を果たすとともに、未来的なドライビング体験を提供します。
パワートレインについても、VIZION-Fは28kWhの大容量バッテリーを搭載し、35kWのモーターによって最高速度100km/hを実現。
航続距離は約200kmとされており、都市内の移動や短距離の配送業務には十分な性能を持っています。
さらに、電動化によって走行時の排出ガスがゼロであることから、環境への負荷を大幅に低減することが可能です。
VIZION-Fは、あくまでコンセプトモデルとして開発されているため、現時点で市販化の予定はありませんが、ダイハツが今後開発する車両に影響を与える要素が数多く盛り込まれています。
特に、ゼロエミッションを実現するための技術や、商用車としての実用性を高めるための新しいアイディアが、今後の製品に反映されることが期待されています。
このように、VIZION-Fは未来の商用車の可能性を示すモデルであり、電動化と多用途性を追求した革新的なアプローチが随所に見られます。
今後、環境に配慮したクリーンなモビリティの実現に向けて、ダイハツがどのような方向に進むのか、非常に楽しみな1台です。