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三菱が新型「アウトランダー」発表! 3年ぶりの“大刷新”で何か変わった!? 超“走行性能UP”&ゴージャス化? 見かけ以上に変わった「進化点」とは

くるまのニュース 2024年10月9日 13時45分

三菱自動車工業(以下、三菱)は2024年10月9日、大幅な改良を施した新型「アウトランダーPHEV(プラグインハイブリッド)」を、10月31日より発売すると発表しました。ひと足先にサーキットで試した様子について紹介します。

■新型で最大の進化点は「走行用バッテリーの刷新」

 2024年10月31日、三菱の新型「アウトランダーPHEV(プラグインハイブリッド)」が発売されます。
 
 2021年10月デビューの現行アウトランダーPHEVに大幅な改良を施した、いわば「進化版(エボリューションモデル)」といえるもので、見た目の変化だけでなく、バッテリーから足回りに至るまでこれまでとは大きく違っています。
 
 その進化はどのようなものなのか、いち早く「袖ヶ浦フォレストレースウェイ」で試してきたので、その模様をお伝えしましょう。

 まず注目したいのは、アウトランダーPHEVの“肝(きも)”ともいえる駆動用バッテリーが変更されたことです。

 内部抵抗を約30%減、冷却性能を約50%アップさせ、容量を20kWhから22.7kWhへと拡大した2025年モデル。

 これにより、EV航続可能距離は100km超に。単位時間当たりの出力は約60%アップ、トータルシステム出力は約20%アップしており、約8割までの急速充電時間は約38分から約32分へと短縮されています。

 より遠くへ、より力強くと、電気自動車のごとく振る舞えるようになったのかもしれません。

 0-100km/h加速タイムは約2秒も短縮したというから驚きです。

 ただ、良いことばかりでは無さそうです。

 新たなバッテリーを収めるために車高は5mmアップ。重量増は約60kgとなっています。

 三菱いわく「車高は上がっていますが重心高はほぼ変わりません」とのこと。走りに影響しないかは心配なところです。

 バッテリーの変更を受け入れるため、新型アウトランダーPHEVは足回りもタイヤも改められています。

 バネ&ダンパーのセッティングを変更し、よりフラットに走らせようという狙いのようです。

 タイヤはこれまでM+S(マッド&スノー)を選択していましたが、今回はブロックが大きめなサマータイヤに改められました。

 これは静粛性の向上を狙ったことがポイント。ドライ路面における走りも引き上げられていることでしょう。

 これらの変更に合わせて、車両運動統合制御システムである「S-AWC(スーパーオールホイールコントロール)」も改めてセットアップを行なったそうです。

 そんな進化を把握しやすいようにと、試乗会場には従来型も準備されていました。

■従来型の比較からわかった新型「アウトランダーPHEV」の進化ポイントとは

 まずは、従来型のアウトランダーPHEVに乗ってコースインしてみます。

 SUVという割には軽快に動き出し、コーナーリングも俊敏にこなして行く従来型。ステアリングは軽く、クルマの向きも変えやすいところがポイントと言えるでしょう。

 ソフトに仕上げられたフロントのロールスピードの速さを利用して、一瞬で旋回姿勢に持ち込もうという仕上がりに思えました。

新型「アウトランダーPHEV」は内装の質感も大幅に向上しました

 結果的に乗り心地はマイルドですが、うねりが大きい路面では特にフロント側がバウンシングしてしまうところが少し気になりました。

 そして新型アウトランダーPHEVに乗り換えると、まずはコクピットで驚くばかり。

 メーター周りはシックなデザインに改められ、上質になったことを視覚的にも意識させてくれます。センターにある大きくなったナビ画面とのデザインの一体感も感じられました。

 またフロントシートにベンチレーション機能が加わったことも驚きです。

 試乗当日はまだまだ暑い時期で、そんな時に背中をクーリングしてくれるのは実にありがたかったです。

 ピットロード出口からフル加速を行うと、従来型より15km/h以上も速いスピードで1コーナーへとアプローチして行きます。

 あえて豪快なスタンディングスタートを新旧で行なってみたわけですが、そこで感じられたのは新型アウトランダーPHEVが持つ伸び感の良さでした。

 高い車速でも変わらずに加速が味わえること。これは高速道路の追い越し加速などで、ストレスなく前に出てくれることでしょう。

 1コーナーを超えて、当日の制限速度となっていた120km/hまで再び加速します。

 すると高周波ノイズが低減され、静粛性が高まっていることが感じられます。

 のちに聞けばこれは、エンジンルームにあるジェネレータカバーの効果なのだとか。色々と細かく進化していますね。

■もはや「フルモデルチェンジ級」!? 進化の度合いが凄かった!

 その後、うねりが感じられる路面に差し掛かかると、新型アウトランダーPHEVは従来型のようにバウンシングすることなく、フラットにクリアして行きました。

 これはかなり快適で、後席で同乗していた編集部のT氏も快適性が高まったと満足しているようでした。

 それはコーナリングにおいても同様で、身体が瞬間的にフラれるようなことが無くなったそうです。

従来型に比べハンドリング性能も大幅に進化!

 運転していてもそこはもちろん感じるところで、瞬間的にクルマの向きを変えるのではなく、ロールスピードはゆっくりで、ジワーッと長い時間をかけて旋回して行くような、リニアでマナーの良い動きになったことが好感触でした。

 ステアリングも、どっしりとした反力が感じられる頼り甲斐のある設定に変化しています。

 サーキットということもあり、念の為(?)に限界走行も行ってみましたが、この巨体がよく曲がること曲がること。

 サマータイヤに改められたうえ、足回りも引き締められ、さらに出力特性もまたリニアかつマイルドに改められたことが、ピッチ方向(車体の前後方向の動き)の操りやすさに繋がっていました。

 力強さだけでなく、出力の出始めを扱いやすくしたところは、ロングドライブにおける疲労軽減にも繋がりそうです。

 ただ、コーナーリングは最後の最後でリアが発散する傾向があり、そこで一気にスタビリティコントロールが働きギクシャクとした動きに。

 もう少し手前で抑えるか、リアの更なる安定性の向上が求められるかもしれません。

 ちなみに従来型は出力が唐突に出てしまうシーンがあり、その際にピッチ方向の動きが出てしまう扱いにくさがありました。

 スイートスポットが狭く、一気に曲げて真っ直ぐ出るようなコーナーリングが適しているのかな、という感覚でした。

 リアの動きも巻き込ませて曲げることを狙ったマニアックさがあります。そこを考えれば、新型アウトランダーPHEVは角が取れたかに思えます。

 速く走らせる楽しみは薄れたのかもしれませんが、ロードゴーイングカーとしては正常進化といえる仕上がりといえるでしょう。

 そもそも、SUVでハンドリングの話もどうかとは思いましたが、三菱はそんなところも見て欲しいと今回は躍起になっていました。

 ラリー参戦で進化し続けたかつての4WDスポーツセダン「ランエボ(ランサーエボリューション)」譲りのハンドリングがやはり自慢のポイントなのでしょう。

 ちょっとマニアックですが、今回の進化をランエボで例えるなら、従来型は“ランエボ9”、新型は(フルモデルチェンジ後の)“ランエボX(テン)”くらいの感覚と言って良いほど、世代が変化した感覚が得られたことはまぎれもない事実です。

■ポテンシャルは高い! さらなる未来の進化にも期待大!

 プレミアムSUV路線を突き進み、ヤマハとの共同開発で誕生した新たなるオーディオ「ダイナミックサウンド ヤマハ アルティメット」の仕上がりもなかなか。

 何もかもが鮮明に感じられる音の作り込みにも感心しました。

新型「アウトランダーPHEV」に新搭載されたオーディオシステム「ダイナミックサウンド ヤマハ アルティメット」も必聴の出来栄えです

 アウトランダーPHEVは、いったいどこまで豪快になるのでしょう。

 できることならリアシートにもベンチレーション機能をと、更なる期待が高まります。

 ただ一方で、サマーに特化することなく、オールシーズンタイヤを履いてどんな路面も行けてしまうような世界も忘れないで欲しいとも思えました。

 静粛性、通過騒音などを考えるとそれは難しい課題なのでしょうが、いずれクリアして欲しいと思えたのは事実です。

 その際は電子制御サスペンションでも装着して、悪路からドライまでカバー、なんてのも……。

 一体どこまで求めるのかと三菱に怒られそうですが、そこはなんでもやれてしまいそうなアウトランダーPHEVだからこそ。

 往年の「パジェロ」とランエボのいいとこ取りといって良いオールマイティなアウトランダーPHEVには、ついつい欲求が無限大に膨らんでしまうのでありました。

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