2024年10月に「JAPAN MOBILITY SHOW Biz week 2024」が開催予定ですが、昨年に行われた「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」にはホンダから斬新な軽トラ風モデルが出展されていました。一体どのようなクルマなのでしょうか。
■画期的な屋根なし軽トラ「AWV」とは?
22024年10月15日から18日まで、幕張メッセ(千葉市美浜区)にて「JAPAN MOBILITY SHOW Biz week 2024」が開催されます。
昨年は、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(以下JMS2023)」が開催され、様々な自動車メーカーが最新モデルやコンセプトカーを披露したなかで、ホンダが日本で初公開した斬新な軽トラ風モデルがひときわ注目を集めていました。
一体どのようなクルマなのでしょうか。
そのクルマとは「Autonomous Work Vehicle(オートノマス・ワーク・ビークル、以下AWV)」です。
AWVは、様々な用途に対応できるプラットフォーム型自律移動モビリティであり、将来の産業や農業分野での作業を支援することを目指しています。
この自律走行車両は、多様なアタッチメントを取り付けることで、物資の運搬や作業支援を行うことができるため、効率化が求められる現場で大いに期待されています。
AWVは、GNSS(全地球衛星測位システム)やLiDAR(ライダー)、レーダーなどの最新テクノロジーを活用し、高度な障害物検知能力を備えています。
これにより、地形や周囲の環境が複雑な場所でも、正確にナビゲーションを行い、作業者の負担を軽減することが可能です。
特に、人間が作業するには危険や難易度の高い環境下において、この自律走行車両は強力なアシスタントとなることでしょう。
2021年11月から、ホンダは米国ニューメキシコ州において第2世代AWVの実証実験を実施しています。
この実験では、建設現場や農業、災害救助など、様々なフィールドでAWVの有用性が確認されました。
第2世代AWVは、全長約2900mm×全幅約1500mm×全高約1420mmと、コンパクトながらも最大399kgの積載能力を持ち、750kgの牽引も可能です。
くわえて小回りの効く設計であり、最小回転半径は3.9mと優れた操作性を誇っています。
このモデルの荷台には、かつてHondaが販売していた軽トラック「アクティトラック」のものが流用されているとされており、デザインにもその影響が見られます。
アクティトラックの特徴的なテールランプデザインが採用されている一方で、運転席は完全に撤去されており、まさに「無人の軽トラ」ともいえる形状です。
2023年3月には、米ラスベガスで開催された「CONEXPO-CON/AGG 2023」で第3世代のAWVが世界初公開され、同年10月のJMS2023で日本初公開されました。
この最新モデルは、より実用性を高めるために多くの改良が施されています。
ボディサイズは全長3025mm×全幅1300mm×全高2052mmとなり、さらに大きな荷物を積むための低床式ベッドを採用。
この設計変更により、荷物の積み下ろしが容易になり、エルゴノミクスも向上しています。
荷台サイズは2560mmの長さと1300mmの幅を持ち、最大積載量は907kgまで拡大されました。
第3世代AWVは自律走行モードで最大時速16kmでの移動が可能であり、バッテリー容量の拡大によって、最大10時間の連続運転ができるようになっています。
これにより、長時間の作業が求められる現場でも効率的に活用できるようになりました。
さらに、LiDARセンサーの精度が向上し、GNSSサービスが利用できない場所でも正確なナビゲーションが可能です。
タブレット端末を用いた簡易プログラミングインターフェースも導入され、クラウドとの連携も可能になっているため、遠隔操作やデータ管理が容易になりました。
AWVは、農業、建設業、物流業など幅広い業界において、作業の効率化と安全性の向上を実現するための革新的な技術です。
これまで人力で行われてきた作業を自律車両に任せることで、作業現場の負担を大幅に軽減し、また、危険な作業環境でも無人で対応できる点が大きなメリットです。
例えば、災害救助の現場では、AWVが障害物を避けつつ物資を届けることができ、建設現場では資材運搬の自動化によって作業の効率を向上させることが可能です。
また、農業分野においても、自律移動技術を活かした収穫支援や農薬散布の自動化が期待されています。
今後、ホンダが提供するAWVの技術は、様々な現場で革命的な変化をもたらすことでしょう。