ドアノブには大きく「フラップ型」と「グリップ型」が存在しますが、かつては「フラップ型」、現在は「グリップ型」が主流となっていますが、なぜこのような変化が起こったのでしょうか。
■ドアノブには色々な種類がある、その理由は?
クルマのデザインは時代とともに変化しており、ドアノブの形状にもそれが表れています。
以前まで主流だった「フラップ型」は気づけば現在では「グリップ型」に主流が移っています。
なぜこのような変化が起こったのでしょうか。
かつての主流であったフラップ型(プル型)とは、小さな板のような形状のドアハンドルを上に押し上げるようにして、ドアをオープンする機構です。
一部モデルには横方向から手を入れて手前にハンドルを引くタイプもありました。
シンプルな構造のため製造コストが比較的低く、形状も薄くできるのがメリットです。
特に商用車などコストを重視するモデルで多く採用されていました。
対して最近の主流であるグリップ型は、上下好きなほうからバーのような形状のドアハンドルを握り、手前に引くことでドアがオープンするという機構です。
これはもともとドイツの高級車に多く採用されていたタイプで、実際にフラップ型よりも高コストです。
ただ、欧州では寒い冬場に手袋をしたままドアを開閉できるようなノブが必要なため、上下どちらからでも握ることができるグリップ型が採用されました。
グリップ型には他にも、万が一事故にあった際、ドアノブにロープなどをひっかけることで救出作業がしやすいというメリットがあります。
近年は国内の各社でもグリップ型を多く採用しており、フラップ型のモデルは減少しています。
なぜこのような採用の変化が起こったのでしょうか。
とある自動車メーカーの担当者は次のように話します。
「『ボディと一体化させることができ見栄えがすっきりしている』『風切り音を少なくできる』といった理由により、1990年代まではフラップ型が主流でした。
しかしフラップ型には『握る方向が一定のため操作感が重い』『爪の長い女性の爪が傷つきやすい』などの問題がありました。
グリップ型ではこれをクリアするほか、防犯性も比較的高くなっています。
そして近年特有のメリットがキーレスエントリーキーなどのセンサーをドアノブに埋め込めることです。
これらの理由により、多くの車両でグリップ型が普及知っていきました」
メリットの多さによりグリップ型が主流となる一方で、フラップ型が完全に消滅したわけではありません。
今も採用するモデルにはトヨタ「ハイエース」やスズキ「エブリイ」がありますが、いずれも商用車であり、室内空間の広さが求められます。
それを確保するために薄い形状のフラップ型を採用しているようです。
■実は最新モデルでも採用例はある? どんなモデル? プリウスは両方?
さらに最先端モデルで採用されることもあり、それについて、前出の担当者は次のように話します。
「グリップ型が普及し、もはや普通という印象になってきた中で、さらに先進的な形状を採用する流れにおいては、フラップ型を改めて採用するケースもあります」
ドアノブも含めてデザインの個性であるため、形状が完全に統一されることは無いようです。
ちなみに、近年ではフラップ型から派生して、一見どこにもドアノブが見当たらないような「格納フラップ型」も存在します。
これは電動格納式で、センサーに反応してドアノブが自動的に飛び出すという機構です。
レクサス「LC」などの高級なスポーツタイプで採用されている、流麗なデザインの演出と空力性能に寄与しています。
スポーツモデルのドアノブでは、ハンドルの一部を押すことでレバーがせり出す日産「GT-R」の「アウタードアハンドル」も特徴的です。
ホンダ「ヴェゼル」などで見られるリアドアのハンドルをピラーに格納したタイプなど、目立たないように工夫した独特なドアノブは他にもあります。
またトヨタ「プリウス」はフロントはグリップ型ですが、リアはブラックアウトしたCピラーに埋め込まれています。
クーペのようなスポーティなスタイリングを追求するために「ドアハンドルを隠すデザイン」を採用した結果、このような形になったといいます。
そんなプリウスの格納フラップ型の正式名称は「ドアオープンスイッチ(リヤドアハンドル)」といい、電気式のスイッチを採用。
これは、軽く触れることでロックが外れる仕組みとなり、トヨタ車として初採用されました。
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このように各社はクルマに合ったタイプのドアノブを考慮して採用しているようです。
ドアノブの形状にはいくつかの種類がありますが、いずれも実用性、防犯性、デザインなどの兼ね合いが考えられています。
現在ではグリップ型が主流ですが、今後のユーザーの需要次第ではまた傾向が変わるのではないでしょうか。