高速道路には、勾配などにより速度が低下するクルマ用の「登坂車線」があります。また近年では「ゆずり車線」や「付加車線」といった渋滞緩和を目的とした車線もあるのですが、どのような時に走行するのでしょうか。
■「登坂車線」「ゆずり車線」「付加車線」何が違う?
高速道路には、上り勾配によって速度が低下してしまうクルマなどのために「登坂車線」が設けられています。
そして近年は、渋滞緩和にも活用する動きとして「ゆずり車線」や「付加車線」と呼ばれる車線も、「走行車線」の左側に設置されていることがあります。
そんなゆずり車線や付加車線は「渋滞時以外」でも走行していいのか、また渋滞時にどう活用すればいいのか判断が難しいようです。どうすればいいのでしょうか。
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主要な高速道路では交通量の多い地域で渋滞を緩和しスムーズな交通を実現させるため、3車線化、さらに4車線化へと拡幅してきました。
そしてさらに、本線の拡充以外の策として設けられているのが、登坂車線やゆずり車線、付加車線といった「一部区間の対策」として追加された車線です。
とは言っても、その実態は走行車線の左側に設けられた「側道」のため、設置されても利用が少ないというジレンマが生じています。
まず登坂車線は、山間部などで勾配のある高速道路の一部に設けられた追加レーン(車線)で、トラックなど重量が重く急な勾配では十分な速度が確保できないクルマ向けに設置されています。
これと似たような役割を果たす車線として誕生したのが、ゆずり車線や付加車線です。
どのような意図で設置されたのか、元教習所の指導員I氏に聞いてみました。
「ゆずり車線は主に渋滞が発生しやすい区間に設置され、自発的に速度を落としたい人や無理に速度を上げたくない人向けの車線です。
高速の渋滞発生箇所である『サグ(下り勾配と上り勾配が連続している箇所)』に多く設置されているのも、上り勾配で速度が下がるクルマに一時的に端に移ってもらい、先を急ぐ後続車に道を譲れるということです」
ほぼ同じ目的で設置されたのが付加車線ですが、こちらは主に高速道路のインターチェンジからの進入や他路線からの合流部分に設置される側道部分のこと。
特に週末の観光地のインターチェンジ(入口)や主要高速道路との合流箇所は混雑しやすく、交通量の増加に対して本線までの合流区間を延長させて、渋滞の緩和を目指していると言えそうです。
「この付加車線の利用が少ない理由としては、主に本線の左側に設置されているため、合流前ならともかく、本線から車線変更してまで利用する人が少ないのです。
本線を走っているクルマや合流したクルマが付加車線は使うメリットは少ないと言えます」
追い越し車線をノロノロ運転する前走車に対し、あおり運転をするドライバーも存在しますが、そんななんか画期的な付加車線も誕生しています。
それが、2022年に中央自動車道の多治見IC~小牧東IC間に設置された「右側付加車線」です。この取り組みはさまざまな意味で非常に効果的だと評価されています。
「一番のメリットは、左側の付加車線を追い越しに使用しているケースが激減したことです。
左側からの追い越しは道路交通法違反ですが、追い越し車線の右側に付加車線を設けることで、追い越し車線を漫然と走るクルマを右から抜かせるところが画期的だと言えます」
NEXCO中日本の発表によると、この区間での大型車の第一走行車線の利用率が向上し、登坂車線で行われていた「左側からの追い越し」が63%から3%にまで減少したとのこと。
この右側付加車線への要望は多く、クルマの高性能化も考慮すれば、一部の高速道路で実施されている制限速度の引き上げも含め、右側付加車線の増加に期待したいところです。