渋谷・恵比寿エリアで「山手線の外側~内側」をつなぐ役目を果たすのが「猿楽橋」です。年季の入ったこの猿楽橋の架け替え計画がいよいよ本格化。ネット上でも反響が集まっています。いったいどのような計画で、どういった声が上がっているのでしょうか。
■着工近い「10年工事」
渋谷・恵比寿エリアで「山手線の外側~内側」をつなぐ役目を果たすのが「猿楽橋」です。年季の入ったこの猿楽橋の架け替え計画がいよいよ本格化。ネット上でも反響が集まっています。
いったいどのような計画で、どういった声が上がっているのでしょうか。
猿楽橋は、代官山から青山方面へ抜ける「八幡通り」がJR山手線・埼京線などをまたいでいく橋です。
戦前の1934年に完成し、今年で90歳を迎えることから、いよいよ補修だけでは対応が効かなくなってきていました。そうして2020年に「猿楽橋長期計画」が策定。架け替え検討が本格化しました。
都心部での架け替えは困難を伴います。作業ヤード確保も難しいため、隣に仮橋を架けて暫定的に交通を通すことが出来ません。つまり、長期間の「完全通行止め」をせざるを得ないのです。
しかも、鉄道をまたぐ橋なので、運行時間中は工事ができません。終電~始発にかけての深夜のわずか「2時間程度」で作業を進めるしかないので、その工事期間は「10年間」という長期間におよぶことが想定されています。
さて、着工を迎えるにあたり、9月末から10月初旬にかけ、地元説明会が行われました。
配布された資料には「200年供用できるような橋を目指します」という文言も。まさに「世紀の大事業」となることが示唆されています。
なお、橋の前後では、2022年度から擁壁の更新工事がスタート。こちらは2025年度には完成する予定としています。そのあと、いよいよ橋本体の架け替え工事に移っていきます。
架け替え後の新たな猿楽橋は、アーチ構造を持った箱桁橋となります。アーチで上から橋桁を引っ張り上げることでたわみを抑え、JRの線路部を中間橋脚無しで一気に「大またぎ」できるわけです。
ちなみに現在の猿楽橋は、橋脚と橋桁がひとつの構造体である「ラーメン構造」を採用。橋全体で荷重を負担することで、やはり線路内の橋脚ゼロでまたぐことが可能になっています。いずれも都心部の狭いスペースで橋を通すための土木技術の工夫といえます。
※ ※ ※
大規模かつ長期間の迂回も必要となる、今回の架け替え工事。SNSなどでは「あの橋が使えないとなると恵比寿まで迂回する必要がありますね」「致し方ないとはいえ、ここ通れなくなるとえらいことになるな。」「国道245号も、駒沢通りも、迂回で渋滞しそうですね。さて、どうしたものか」「長期間の通行止めはキツイな」と、貴重な東西ルートが無くなることに不安を覚える声が。
また「よくドラマにも登場した橋。また1つ、昭和の名所が姿を変える」「戦前の風景が無くなるのは残念ですね」「そうかあの橋、無くなっちゃうのか」「PVのロケ地にもあったあの橋が…」など、近づく別れを惜しむ声も見られました。